栄養素や食品添加物などとガンの発症の関係については、数多く研究され、報告されています。栄養素のビタミンCは、漬物やハムの発色剤の亜硝酸と、摂取した医薬品との化学反応によるガン原性物質ジメチルニトロソアミンを阻害し、また、ミネラル栄養素のセレニウム(セレン)はガンに対し、ある程度、防御力を有する可能性があることが、疫学的研究や実験的研究から示唆されます。しかし、これらの研究の多くでは、セレンを毒性値近くまで用いており、栄養として、摂取する量を遙かに超えています。栄養素鉄イオンの欠乏も間接的に上部消化器ガン(胃ガン)の発症に結び付く可能性があると研究、報告されています。亜鉛イオンは、濃度と実験条件を変えることにより、発ガン現象を強めたり、妨げたりすることが動物実験から示唆されます。モリブデンの欠乏は、食道ガンの危険率の増大をもたらし、ヨウ素の過剰摂取と欠乏は、甲状腺腫の危険率の増大をもたらす可能性がある、と報告されています。
これらのミネラル栄養素は、摂取する場合、過剰摂取した場合、腎臓に負担をかけたり、ビタミンCやビタミンB群のビタミンのように、すぐに排泄されず、蓄積され、過剰摂取の場合、毒性が強い可能性があります。
また近年、食品に含まれる危険な外因性化学物質の多くに関心が持たれています。これらは、食品自身の危険な成分、環境性汚染物質、料理中の生じた変異原性物質、それに、人工色素、人工甘味料、防腐剤などの食品添加物などです。また、近年の超加工食品の使用の著しい増加、それに料理習慣(ファーストフード、インスタントフード、洋食、中華料理、インド料理など)の変化による影響は、ガンの発生率の増加に関係があります。また、発ガン物質は広く食品中に分布しており、多くの野菜は、発ガン性フラボノイドを含んでおり、煮たりしてその毒性を減らす事ができます。発ガン活性は、コーヒー、茶、それにアルコール飲料など多くの食品からの抽出物中で観察されます。発ガン物質は、肉や魚などの蛋白質の高温による熱分解により生じます。米国での研究によると、低温処理による料理は、発ガン物質の産生をもたらす可能性があります。そして、食品中に見出される変異原性物質の多くは、発ガン活性をテストされていないし、変異原性物質が発ガン物質であることを暗示する証拠が増えつつあります。更なる研究が期待されます。
References
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richard A. Kunin. Mega Nutrition 1980 John L. Hochman Books
George E. Berkley. CANCER. How to prevent it&How tohelp your doctor fight it. 1978 by Prentice-Hall,Inc.