以前から、ガンとビタミンA(肝油や人参などに含まれる栄養素)関係については、多くの研究報告があります。"The lancet,"誌によると、血清ビタミンA(レチノール)値が低いと、肺ガンの危険率が高まり、肺ガン患者の血清レチノール値は低く、血清レチノール値は血清レチノール結合蛋白質(RBP)と亜鉛(牡蠣など貝類に含まれる栄養素)の血清値に著しく関係していた。なお、ビタミンAは、レチノールの形で循環系に入り、特異的運搬蛋白質のRBPに結び付きます。動物実験では、栄養素の亜鉛がRBPの合成に関与し、肝臓からのレチノールの動員に必要である事が示されています。亜鉛はガン代謝に重要な役割を演じ、急速に増殖しているガンは、からだの亜鉛要求量を高める、と考えられます。そして、食事性の亜鉛が少ない場合、血清亜鉛値が低下し、RBP値とレチノール値の減少をもたらす。ガンが発症する前に血清レチノール値が低いと、ガンの発症をもたらすに違いない。
ビタミンAの欠如が肺ガンの進行を促進させるかどうかは明確ではないが、ビタミンAの欠如は気管支粘膜細胞の分化に直接影響し、その分化とガン化をもたらします。しかし、細胞媒体反応によって、免疫作用がいくらか見られます。肺ガンと喫煙の間には強い相関があるにも関わらず、重度の喫煙者の中には肺ガンに罹らない人がいます。おそらく、彼らがビタミンAと亜鉛、それにビタミンCを食事で多く摂取していることが、その理由である可能性が強い、と考えられます。更なる研究の積み重ねが期待されます。
References
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