ビタミンDには抗ガン作用が報告され、注目されている栄養素ですが、脂溶性のため体内に貯留しやすく、注意して摂取しなければいけない、といわれています。Cedric F Garland博士らの研究によると、1,000IU/日までのビタミンD投与量(カワイ肝油4個分)では毒性が生ずる可能性はなく、少なくとも30ng/mlから45ng/mlの血清25(OH)D値は、正常な副甲状腺ホルモン値を維持するのに必要であり、かつ、少なくとも400IU/日のビタミンDの補給は、若者や中年成人での正常な副甲状腺ホルモン値の血清25(OH)D値を維持するのに必要です。また、少なくとも600IU/日の摂取は、70歳より上の高齢者において正常値を維持するのに必要、と報告されています。
The National Academy of Science-Institute of Medicineによると、2,000IU/日のビタミンD摂取量は、安全な上限摂取量であり、基準となる推薦摂取量は、これより更に低値であります。 また、骨の脱ミネラル化、高Ca血症、高Ca尿症、あるいは、腎不全を伴った腎臓結石などは、一般的には、一日あたりの投与量が、慢性病になる基準値を超える10,000IU/日である時にまれに見られます。更に、腎臓病や肝臓病、それに心血管系疾患などの持病を有する人は、ガン予防のためには、摂取量を減らすかどうか医師への相談が必要で、ガン治療には、栄養摂取必要量以上のビタミンDが必要なため、臨床医のモニターは必要です。なお、ビタミンDは、ビタミンCと違って、摂取量に気を付ける必要がある栄養素、と考えます。
References
Cedric f Garland, et al. The role of vitaminD in cancer prevntion. Am J Public Health. 2006 Feb 96(3): 252-261