「ふたりの5つの分かれ路」で、主人公のマリオンとジルが別れるに至ったそもそもの発端、それは“結婚の日”の章で語られていると書きました。
僕にはそれが発端だと明らかに映ったのですが、そこに明確に言及されている記事にはお目にかかってないので、自分の感性がおかしいのかなぁとも思ったりしてるのですが、“ネタバレ”として書き留めておこうと思います。
ジルとマリオンの結婚の日。マリオンの両親もまだ仲睦まじく出席して、大きなホテルで挙式とその後のパーティーが催されました。楽しく騒いで、お酒も飲んで、新婚さんは二人仲良く抱き合いながら上階の部屋に入っていきます。
洋服を脱ぐのももどかしいくらいにベッドで愛撫しあう二人。マリオンはウェディングドレスを脱ぐ為にバスルームに入りますが、その間にジルは服を着たまま大きな寝息を立てて眠ってしまいます。
マリオンは結婚式の興奮が覚めないのかすぐには眠りたくない気分。ジルをベッドに残したまま、ジーパンとセーターに着替えて外の空気に当たりに出ることにします。パーティ会場にはまだ音楽が流れ、マリオンの両親ベルナールとモニクが静かに踊っていました。
ホテルの庭のずっと先には小さな池があって、マリオンは畔の倒木に腰を掛けました。静かな夜で幸せな気分でした。
その時、背後の藪から物音が聞こえたかと思ったら、それは一人の男性でした。彼は同じホテルに宿泊しているアメリカ人で、時差ボケのところに、マリオン達のパーティーが五月蠅くて眠れないのだと言いました。男はマリオンの横に座り、マリオンに煙草をすすめます。
フランス語はしゃべれないという男と英語で少しおしゃべりをした後、早々にマリオンはホテルに戻ろうとしますが、男はマリオンの手を掴み、彼女の心の奥を見透かしたように抱きしめるのでした・・・。
結婚式を挙げた当日に夫以外の男とそんな関係になるって常識では考えられないと思うのですが、ある女性ブロガーの記事には<男性から見たら非常な裏切り行為と映るだろうけれど、このマリオンの心情は、わかるなぁ>と書かれていました。
なんか博愛的になるというのか、すべての男の受け皿になれるんだ私は・・・なんて気分にでもなるんでしょうかねぇ。
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この章の後、時系列的には「出産」の章に入っていきます。
ジルは産気づいたマリオンに冷たいですよね。仕事もありましたが、産院にもなかなか入ろうとしないし、赤ん坊には会うのに病室のマリオンには会おうともしません。
何故か?
映画の流れを素直に汲み取れば、ジルにはあの赤ん坊が自分の血を分けた本当の子供なのか自信がないんだと思います。疑っているんです。
何故、そんな疑いを持っているのか?
これは想像ですが、結婚式の日のあの夜の出来事をマリオンが告白したのではないかと思っています。何時かは分かりませんが、あの夜に名前も知らない男と交わした情事の事を話したのだと思います。
ですからジルは赤ん坊がひょっとしたら自分の子かも知れないけれど、100%ではないと、どこかに疑いの気持ちを持っているのです。
「出産」という夫婦の喜ばしい出来事なのに、夫婦が顔を合わすこともない。保育器に眠る我が子を見ながら「本当にあの子?こっちの子じゃない?」なんていう父親いますか?
帝王切開の後の痛々しい身体で、保育器の我が子を見に行くマリオンの哀しい表情には、彼女がジルの気持ちも察しているように感じられました。
マリオンには喜びの儀式の副産物くらいにしか感じられなかったあの夜の出来事が、こんなにも夫婦の絆に傷をつけるとは・・・。
雑感としてもう少し書いておきます。
マリオンはジルよりも性に開放的であり進歩的だった。
第4章「倦怠期のとある夜」で、ジルのゲイの兄クリストフとその恋人を呼んでのささやかなホームパーティーのシーンがありますが、あの時ジルが告白した不倫の話は、ジルがマリオンに近づく為に行った経験だろうと想像しています。でもそれは夫婦の距離を近づけることにはならなかった。
ジルは食洗機に入れる前に食器についた食事の残りはシンクに流す流儀だし、マリオンは気にしないタイプ。そんな小さな違いさえも気になるようになった二人でした。
クリストフたちが帰った後、ふと夜中に目覚めたマリオンは、ジルが横に居ない事に気づく。ジルは二コラ(赤ん坊は可愛い男の子でした)が夜泣きをしたからと言って、彼のベッドで添い寝をしていた。マリオンはジルを夫婦のベッドに帰るように促すがジルは首を振って二コラの傍にいることを選択する。
ジルにはもうマリオンに対する信頼は無くなっており、わずかでも自分の子供かも知れない二コラとの時間を大切にしたのだ。或いはそう願いつづけていたのかも。
僕は男なのでジルの心情を強く意識しているのでしょうが、さて、女性にはこの雑感はどうみえるでしょうか?
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上の画像の前に映画では、ジルと二コラを残して部屋を淋しく去っていくマリオンの後ろ姿があります。
その背に被って流れてくる歌がこれでした。
唄っているのはウィルマ・ゴイク。曲は「愛のめざめ」。ちょっと切ないシーンでした。
僕にはそれが発端だと明らかに映ったのですが、そこに明確に言及されている記事にはお目にかかってないので、自分の感性がおかしいのかなぁとも思ったりしてるのですが、“ネタバレ”として書き留めておこうと思います。
ジルとマリオンの結婚の日。マリオンの両親もまだ仲睦まじく出席して、大きなホテルで挙式とその後のパーティーが催されました。楽しく騒いで、お酒も飲んで、新婚さんは二人仲良く抱き合いながら上階の部屋に入っていきます。
洋服を脱ぐのももどかしいくらいにベッドで愛撫しあう二人。マリオンはウェディングドレスを脱ぐ為にバスルームに入りますが、その間にジルは服を着たまま大きな寝息を立てて眠ってしまいます。
マリオンは結婚式の興奮が覚めないのかすぐには眠りたくない気分。ジルをベッドに残したまま、ジーパンとセーターに着替えて外の空気に当たりに出ることにします。パーティ会場にはまだ音楽が流れ、マリオンの両親ベルナールとモニクが静かに踊っていました。
ホテルの庭のずっと先には小さな池があって、マリオンは畔の倒木に腰を掛けました。静かな夜で幸せな気分でした。
その時、背後の藪から物音が聞こえたかと思ったら、それは一人の男性でした。彼は同じホテルに宿泊しているアメリカ人で、時差ボケのところに、マリオン達のパーティーが五月蠅くて眠れないのだと言いました。男はマリオンの横に座り、マリオンに煙草をすすめます。
フランス語はしゃべれないという男と英語で少しおしゃべりをした後、早々にマリオンはホテルに戻ろうとしますが、男はマリオンの手を掴み、彼女の心の奥を見透かしたように抱きしめるのでした・・・。
結婚式を挙げた当日に夫以外の男とそんな関係になるって常識では考えられないと思うのですが、ある女性ブロガーの記事には<男性から見たら非常な裏切り行為と映るだろうけれど、このマリオンの心情は、わかるなぁ>と書かれていました。
なんか博愛的になるというのか、すべての男の受け皿になれるんだ私は・・・なんて気分にでもなるんでしょうかねぇ。
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この章の後、時系列的には「出産」の章に入っていきます。
ジルは産気づいたマリオンに冷たいですよね。仕事もありましたが、産院にもなかなか入ろうとしないし、赤ん坊には会うのに病室のマリオンには会おうともしません。
何故か?
映画の流れを素直に汲み取れば、ジルにはあの赤ん坊が自分の血を分けた本当の子供なのか自信がないんだと思います。疑っているんです。
何故、そんな疑いを持っているのか?
これは想像ですが、結婚式の日のあの夜の出来事をマリオンが告白したのではないかと思っています。何時かは分かりませんが、あの夜に名前も知らない男と交わした情事の事を話したのだと思います。
ですからジルは赤ん坊がひょっとしたら自分の子かも知れないけれど、100%ではないと、どこかに疑いの気持ちを持っているのです。
「出産」という夫婦の喜ばしい出来事なのに、夫婦が顔を合わすこともない。保育器に眠る我が子を見ながら「本当にあの子?こっちの子じゃない?」なんていう父親いますか?
帝王切開の後の痛々しい身体で、保育器の我が子を見に行くマリオンの哀しい表情には、彼女がジルの気持ちも察しているように感じられました。
マリオンには喜びの儀式の副産物くらいにしか感じられなかったあの夜の出来事が、こんなにも夫婦の絆に傷をつけるとは・・・。
*
雑感としてもう少し書いておきます。
マリオンはジルよりも性に開放的であり進歩的だった。
第4章「倦怠期のとある夜」で、ジルのゲイの兄クリストフとその恋人を呼んでのささやかなホームパーティーのシーンがありますが、あの時ジルが告白した不倫の話は、ジルがマリオンに近づく為に行った経験だろうと想像しています。でもそれは夫婦の距離を近づけることにはならなかった。
ジルは食洗機に入れる前に食器についた食事の残りはシンクに流す流儀だし、マリオンは気にしないタイプ。そんな小さな違いさえも気になるようになった二人でした。
クリストフたちが帰った後、ふと夜中に目覚めたマリオンは、ジルが横に居ない事に気づく。ジルは二コラ(赤ん坊は可愛い男の子でした)が夜泣きをしたからと言って、彼のベッドで添い寝をしていた。マリオンはジルを夫婦のベッドに帰るように促すがジルは首を振って二コラの傍にいることを選択する。
ジルにはもうマリオンに対する信頼は無くなっており、わずかでも自分の子供かも知れない二コラとの時間を大切にしたのだ。或いはそう願いつづけていたのかも。
僕は男なのでジルの心情を強く意識しているのでしょうが、さて、女性にはこの雑感はどうみえるでしょうか?
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上の画像の前に映画では、ジルと二コラを残して部屋を淋しく去っていくマリオンの後ろ姿があります。
その背に被って流れてくる歌がこれでした。
唄っているのはウィルマ・ゴイク。曲は「愛のめざめ」。ちょっと切ないシーンでした。
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