(1959/ジャン=リュック・ゴダール監督・脚本/ジャン=ポール・ベルモンド、ジーン・セバーグ、ダニエル・ブーランジェ、ジャン=ピエール・メルヴィル、ジャン=リュック・ゴダール/95分)
去年レンタルしようとして貸出中だったモノ。その時は「気狂いピエロ」を借りた。
ゴダールの中では『良かった』というコメントが多い映画で、概ねそれは、主演の二人の“粋でお洒落なムードが良い”ということらしかった。個人的には、映画少年の頃からヌーベル・バーグの代表作というイメージをもっていた映画で、手持ちカメラでの移動撮影が多用された事も話題になった作品だ。先月、NHK-BS2で放送されたので録画。今回が初見です。
ハンディカメラでの撮影は、今となっては全然珍しくないショットとなっておりました。手ブレが全然ないんですが、あんな風に出来るんですねぇ。珍しくないというよりは、今観てもクールな映像でした。エスカレーターで移動するセバーグを上の方から捉えたショットなんかカッコイイ化粧品か何かのCMのよう。街中を二人が話しながら歩いているシーンは、通行人が注視してるのが見え見えで少し気になりましたがね。
旅客機の客室乗務員をしていたミシェルは、今はあちこちで車泥棒をして暮らしている。ニースで会ったアメリカ娘パトリシアが忘れられずに、マルセイユで盗んだ車を飛ばして彼女のいるパリに向かう。途中で白バイに追跡され、車にあった拳銃で一人を撃ち殺してしまう。
パトリシアはニューヨークから留学に来ている女性で、街頭で新聞を売ったりしているが、どうやらジャーナリスト志望のようで、新聞社の知人からはある作家の囲みインタビューの仕事を頼まれたりする。(空港でインタビューを受ける作家に扮していたのは、ジャン=ピエール・メルヴィルでした。)
新聞を売っているパトリシアと再会するミシェル。なんとかもう一度『寝たい』としつこく絡むが、パトリシアは気のない素振り。でも、まんざらでもなさそうである。ミシェルは留守中の彼女の(ホテルの)部屋に上がり込み、帰ってきたパトリシアにまたしても迫る。このホテルの部屋の二人のシーンは結構長くて、途中ではパトリシアが妊娠の告白をする(2回目の鑑賞では、それまでのシーンに妊娠の伏線が張ってあったことに気付いた)。
ここは「気狂いピエロ」では皆無に等しかったロマンチックなシーンでした。但し、甘~いものではなくて、男と女の駆け引きも感じられる面白いシーンでした。ここのジーン・セバーグ、ミドルショットは美しく可愛かったけど、アップの印象は割と大人びた感じだった。
警官殺しの犯人として、ミシェルへの捜査の手が伸びてくる。やがて、パトリシアの所にも刑事がやってきて、あからさまな尾行も付いてくる。ミシェルと共に逃げるパトリシア。彼に対する自分の揺れ動く心に決着をつけるために、パトリシアは刑事にミシェルの居所を連絡する。更にその事をミシェルに告げる。そうすることによってミシェルが遠くへ行ってしまうことも期待していたのだが・・・。
上映時間の短縮のためにやむを得ずフィルムをカットしたことから創り出されたという“ジャンプ・カット”。どんなモノか、これもこの映画のお楽しみでした。初めて聞いたときはコミカルな感じになっているのかと思ってましたが全然そうではなく、人間の繋がりが稀薄で危なっかしいこの映画の雰囲気に合った手法になっていたようです。
「気狂いピエロ」よりは人間関係が掴みやすいし、人物の心情も分かり易く、個性的で面白い作品でした。
1960年ベルリン映画祭で監督賞を受賞したこの作品は、監修がクロード・シャブロル、原案がフランソワ・トリュフォー、モノクロカメラはラウール・クタールです。
ジーン・セバーグのデータを見ると、1938年生まれでこの時21歳。なんと、享年41歳。<1979年、パリの路上に駐められた車の中から遺体で発見された。自殺であると見られている。(ウィキペディア)>とのこと。
「セシルカット」がキュートだった「悲しみよこんにちは(1957)」、もう一度観たくなりました。
さて、ゴダールについてこれから何を観ましょうかねぇ。「軽蔑(1963)」とか「男と女のいる舗道(1962)」など、「気狂いピエロ」以前の作品の方が分かり易いようですが、人間の捉え方としては「勝手にしやがれ」から脱していないんじゃないかという気もするなぁ。
余談ですが、かつて「♪勝手にしやがれ」という歌謡ポップスがありました。唄っていたのはジュリーこと沢田研二。この頃のタイトルには外国映画のパクリが沢山ありました。「♪サムライ」「♪終着駅」「♪喝采」「♪赤い風船」「♪甘い生活」etc・・・。
・「勝手にしやがれ」の素敵なトリビアは、koukinobaabaさんのこちらで
去年レンタルしようとして貸出中だったモノ。その時は「気狂いピエロ」を借りた。
ゴダールの中では『良かった』というコメントが多い映画で、概ねそれは、主演の二人の“粋でお洒落なムードが良い”ということらしかった。個人的には、映画少年の頃からヌーベル・バーグの代表作というイメージをもっていた映画で、手持ちカメラでの移動撮影が多用された事も話題になった作品だ。先月、NHK-BS2で放送されたので録画。今回が初見です。
ハンディカメラでの撮影は、今となっては全然珍しくないショットとなっておりました。手ブレが全然ないんですが、あんな風に出来るんですねぇ。珍しくないというよりは、今観てもクールな映像でした。エスカレーターで移動するセバーグを上の方から捉えたショットなんかカッコイイ化粧品か何かのCMのよう。街中を二人が話しながら歩いているシーンは、通行人が注視してるのが見え見えで少し気になりましたがね。
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旅客機の客室乗務員をしていたミシェルは、今はあちこちで車泥棒をして暮らしている。ニースで会ったアメリカ娘パトリシアが忘れられずに、マルセイユで盗んだ車を飛ばして彼女のいるパリに向かう。途中で白バイに追跡され、車にあった拳銃で一人を撃ち殺してしまう。
パトリシアはニューヨークから留学に来ている女性で、街頭で新聞を売ったりしているが、どうやらジャーナリスト志望のようで、新聞社の知人からはある作家の囲みインタビューの仕事を頼まれたりする。(空港でインタビューを受ける作家に扮していたのは、ジャン=ピエール・メルヴィルでした。)
新聞を売っているパトリシアと再会するミシェル。なんとかもう一度『寝たい』としつこく絡むが、パトリシアは気のない素振り。でも、まんざらでもなさそうである。ミシェルは留守中の彼女の(ホテルの)部屋に上がり込み、帰ってきたパトリシアにまたしても迫る。このホテルの部屋の二人のシーンは結構長くて、途中ではパトリシアが妊娠の告白をする(2回目の鑑賞では、それまでのシーンに妊娠の伏線が張ってあったことに気付いた)。
ここは「気狂いピエロ」では皆無に等しかったロマンチックなシーンでした。但し、甘~いものではなくて、男と女の駆け引きも感じられる面白いシーンでした。ここのジーン・セバーグ、ミドルショットは美しく可愛かったけど、アップの印象は割と大人びた感じだった。
警官殺しの犯人として、ミシェルへの捜査の手が伸びてくる。やがて、パトリシアの所にも刑事がやってきて、あからさまな尾行も付いてくる。ミシェルと共に逃げるパトリシア。彼に対する自分の揺れ動く心に決着をつけるために、パトリシアは刑事にミシェルの居所を連絡する。更にその事をミシェルに告げる。そうすることによってミシェルが遠くへ行ってしまうことも期待していたのだが・・・。
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上映時間の短縮のためにやむを得ずフィルムをカットしたことから創り出されたという“ジャンプ・カット”。どんなモノか、これもこの映画のお楽しみでした。初めて聞いたときはコミカルな感じになっているのかと思ってましたが全然そうではなく、人間の繋がりが稀薄で危なっかしいこの映画の雰囲気に合った手法になっていたようです。
「気狂いピエロ」よりは人間関係が掴みやすいし、人物の心情も分かり易く、個性的で面白い作品でした。
1960年ベルリン映画祭で監督賞を受賞したこの作品は、監修がクロード・シャブロル、原案がフランソワ・トリュフォー、モノクロカメラはラウール・クタールです。
ジーン・セバーグのデータを見ると、1938年生まれでこの時21歳。なんと、享年41歳。<1979年、パリの路上に駐められた車の中から遺体で発見された。自殺であると見られている。(ウィキペディア)>とのこと。
「セシルカット」がキュートだった「悲しみよこんにちは(1957)」、もう一度観たくなりました。
さて、ゴダールについてこれから何を観ましょうかねぇ。「軽蔑(1963)」とか「男と女のいる舗道(1962)」など、「気狂いピエロ」以前の作品の方が分かり易いようですが、人間の捉え方としては「勝手にしやがれ」から脱していないんじゃないかという気もするなぁ。
余談ですが、かつて「♪勝手にしやがれ」という歌謡ポップスがありました。唄っていたのはジュリーこと沢田研二。この頃のタイトルには外国映画のパクリが沢山ありました。「♪サムライ」「♪終着駅」「♪喝采」「♪赤い風船」「♪甘い生活」etc・・・。
・「勝手にしやがれ」の素敵なトリビアは、koukinobaabaさんのこちらで
・お薦め度【★★★=一度は見ましょう、ゴダールだから】
男(ミシェル)はアノ事しか頭にないようでしたが。
おそらく今見たら、全然違う感想を持つと思いますが。前にもちらっと書きましたが、ゴダールでも「東風」なんかは高校生でも、結構感じるものがあったんですけども。
山口百恵の「♪愛の嵐」、森進一には「♪東京物語」なんてのも。
ハハーっ、そんなのもありましたねぇ。「♪東京物語」は邦画ですけどネ。
ショートヘアのジーン・セバーグがとてもキュートだっただけに41歳で亡くなったと知ってちょっとショックを受けました。
TBさせていただきますね。
「気狂いピエロ」を高く評価する玄人も多いようですが、記事中にもありますように、アレはちょっと分かりにくい部分が多いです。
「軽蔑」は分かり易くて、観て損はないですよ。
<ジーン・セバーグ
41歳の自殺だったんですか…知らなかったです。
<「軽蔑」
ちょっと前にBSで放送されていましたよね。でも録画に失敗して見ていないんですよー(>.<)!
大体チェックしてるんですが、気がつきませんでした。
モラヴィアの原作の味わい通りだったような気がします。
BBとミシェル・ピコリの共演で、BBが“演技”していたと思いますよ(笑)。
BSは何ヶ月かしたら再放送するようなので、次回を待ちましょう、お互いに。
ま、話の種にはなるかも