テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

出逢い

2009-03-01 | ドラマ
(1979/シドニー・ポラック監督/ロバート・レッドフォード、ジェーン・フォンダ、ヴァレリー・ペリン、ジョン・サクソン、ウィリー・ネルソン、ウィルフォード・ブリムリー/120分)


 去年亡くなったポラック監督とレッドフォードのコンビは6作あって、この「出逢い」は5作目。この後の6作目がオスカー監督賞受賞の「愛と哀しみの果て (1985)」になる。
 ジェーン・フォンダがポラック作品に出るのも「ひとりぼっちの青春 (1969)」に続いて2作目。「ひとりぼっちの青春」は彼女が初めてオスカーにノミネートされた作品だった。
 そして、ジェーンとレッドフォードの共演はアーサー・ペンの「逃亡地帯 (1966)」、ニール・サイモン脚本(監督はジーン・サックス)の「裸足で散歩 (1967)」に続いて、これが3作目となる。アクターズ・スタジオ・インタビューでジェーンが語っていたが、レッドフォードとの共演の度に彼女は恋に落ちてしまったそうだ。

*

 原題が【THE ELECTRIC HORSEMAN】。『電気仕掛けの乗馬野郎』とでも言うんでしょうか、レッドフォード扮する主人公サニー・スチールはロデオの元世界チャンピオンという設定です。

 5回も世界チャンピオンになったサニーは、引退後スターとして企業のCMに引っぱり出され、今はシリアル食品のコマーシャルに出ている。パッケージの写真にもなり、企業主催のイベントにもかり出され、旅から旅の生活だ。カウボーイ仲間が二人付いているが、彼自身はこんな生活に嫌気がさしていて、毎日のように酔っぱらい、仕事場にも酩酊状態でやって来ていた。
 ラスベガスのカジノでのイベントで元競走馬の名馬として有名なライジング・スターと共演することになるが、サニーが馬の様子を見に行くと、脚の怪我で引退したのに添え木もなく、どうやら鎮静剤やステロイド剤なども打たれているようだった。会社のお偉方に文句を言いに行くも相手にされず、その夜のショーで彼は段取りを無視して馬に乗って舞台に登場、電飾の明かりを付けたまま会場を通り抜け、カジノの中も通り抜け、そのままライジング・スターと共に表通りに消えていったのだった・・・。

 「出逢い」というタイトルで、ボブとジェーンの甘いラブ・ロマンスを期待される方もおいででしょうが、そのつもりで観ると失望します。但し、メインではないものの大人のロマンスは有り、観ようによっては余韻のあるものとなっています。
 金で買われた名馬が企業の宣伝にオモチャのように使われているのを、同じように企業の宣伝の道具に成り下がった男が助けようという動物愛護がテーマで、ひいては企業の儲け主義に対する批判精神も覗かせた映画です。
 ジェーン扮するハリー・マーチンはニューヨークの女性ジャーナリスト。1200万ドルで買われた名馬を盗んだとして警察に追われることになるサニーを追いかけ特ダネを狙うも、彼と行動を共にする内に今回の行動の意図を知り、段々とサニーに惹かれていく。
 逃走劇であり、中盤以降はロード・ムーヴィーですね。中盤ではパトカーや白バイの追跡を馬で逃げるという追っかけアクションが観られます。
 最初のイベントでの記者会見ではサニーに辛辣な質問を浴びせて犬猿の仲になりかけた二人が、旅を続ける内にうち解け、段々とサニーもハリーに優しくなっていく。荒野を旅しながら、初めて二人が結ばれた翌朝の照れくさそうなハリーの反応が可愛いです。
 このサニーは如何にもレッドフォードらしい男で、決して正義のヒーローではないし、聖人君子でも勿論ない。女房への仕送りを忘れたり、女にも手が早い。気に入らない仕事には不真面目だ。「白銀のレーサー」とか「お前と俺」に通じる、単純なのか複雑なのか分からないキャラクターで、如何にも彼らしい人物像ではありましたね。

 馬に薬物を使用した事が公になると企業イメージが壊れるので会社側は穏便に捕まえたいと思っているが、ハリーが撮影したサニーの独占インタビューがTVに流れ、サニーを応援する人々も出てくる。さて、サニーの行き着く先は・・・。

*


 ヴァレリー・ペリンはサニーの元妻の役。ペリンは「レニー・ブルース」でダスティン・ホフマンの奥さん役で主演女優賞にノミネートされましたね。
 冷徹な社長役のジョン・サクソンは「燃えよドラゴン」が懐かしい。
 カントリーの大御所ウィリー・ネルソンは主題歌(↓)と共に、サニーの相棒役で出演してました。

 因みに、レッドフォードが出演したその他のポラック作品は「雨のニューオリンズ (1965)」、「大いなる勇者 (1972)」、「追憶 (1973」、「コンドル (1975)」です。





プチネタバレ記事はコチラ。

・お薦め度【★★★=R・Rファンでなくても、一度は見ましょう】 テアトル十瑠

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2 コメント

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夜の高速道路と電飾マン☆ (viva jiji)
2009-03-01 18:19:58
UPされた動画はまさに本作のメインですかね♪
あのハデハデ電飾、凄くてね~、
ちょいと物悲しくもあったよね~

レッドフォード氏はお馬さんをこよなく
愛している人なんでしょうね。
「モンタナの風に~」にもそんな匂いがしたもの。

ジェーンが相変わらずメイク濃くてね。(--)
ウィリー・ネルソン、良かったし。
「コンドル」は内容が内容でしたから別として
レッドフォードさんご出演作はどちらかというと
ハラハラドキドキしなくていいわ。
ポラック氏の演出も落ち着いてるし。

<どんでも情報>
馬自体が電気仕掛けの妙チクリンな
「アーバン・カウボーイ」っちゅう映画も
ありました。さっき観てた「ペーパー・
チェイス」のJ・ブリッジス監督作。
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お馬さん大好きオーラ (十瑠)
2009-03-01 20:23:03
仰有るとおり「モンタナの風に~」がすぐに思い出される映画ですね。
愛馬がいて、サンダンスでも乗り回していたんだと思いますよ。
昔、時代劇のエキストラやった時には馬の大きさにビビリましたね。うっかり踏まれると複雑骨折だから気を付けろよ、なんて言われました^^

「雨のニューオリンズ」以外はみんな観たんですが、スパイ物だった「コンドル」はフェイ・ダナウェイが出ていた事くらいしか覚えてません。確か、これも逃亡劇でしたね。また観たい!

「ペーパー・チェイス」は去年録画したのが有るんで今回はスルー。「アーバン・カウボーイ」は多分未見ですね。
さて、明日は「ジャイアンツ」ですよ
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