「何度観ても面白い」
近未来のデトロイトで、サイボーグ化したロボコップが悪を退治する――という単純なものではない。
警察が企業に買収されたり、企業のトップとヤクザが癒着していたりと、一筋縄ではいかない展開となっている。
また、ロボコップ自身も「人間」と「ロボット」の間でアイデンティティが揺れ動き、単純な勧善懲悪ヒーローとしては片付けられていないところがミソ。
ポール・バーホーベンがアメリカで本格的なデビューを果たした作品でもある。
この映画が放っているメッセージ性については特に扱うつもりはない。
至る所で述べられているし、いまさらそれを述べる必要もないだろうから。
この映画は何度も観ているが、何度観ても面白い。
ストーリーはもちろん、セリフだって覚えているが、それでも面白い。
いろんな映画作家がいるわけだけど、このバーホーベンほど私と相性が良い作家はいない。
『スターシップ・トゥルーパーズ』が私のフェイバリットムービーなのだが、私がバーホーベンの存在を知ったのは、この『ロボコップ』である。
この映画の、どのシーンを観ても私の頭をチリチリと刺激する。
1時間半の時間が全く長く感じられない。
こんな作品は滅多にお目にかかれないだろう。
ベタ褒めばっかりしているが、私にとっては、そういう映画なんだから仕方がない。
ただ、1つだけ不満があるとしたら、今回のテレビ放映版ではカットされたシーンがあること。
ラスト間際、有毒廃液を全身に浴びてしまった悪党が、車に轢かれてミンチになってしまうシーンがスッパリとカットされているのだ。
テレビ的に放送に耐えないシーンだったし、話の脈絡からみてもカットされても支障のないシーンではある(廃液を浴びた時点で死んだということにしておけば)
でも、この過剰な残虐シーンってのは、バーホーベンの変態性が発揮される真骨頂のシーンだと、私は思ってる。
きっとバーホーベン自身も、このシーンは相当に気に入っていたはずだ。
なにせ、廃液を浴びて悪党がグチョグチョになっちゃうシーンをわざわざ設けるし、そもそも「製鉄所」にこんな物騒なモノを置いておく必然性だってない。
そう考えるとバーホーベンは、このシーンが撮りたくてたまらなかったと思える。
そんな大事なシーンをカットしてしまうなんて、『ロボコップ』ファンであり、バーホーベンファンでもある私としては、ちょっと物足りなかった。
……まあ、映像の表現に関しては、最近はデリケートな状態になっているから、仕方がないのかな。
『ロボコップ』(テレビ)
監督:ポール・バーホーベン
出演:ピーター・ウェラー、ナンシー・アレン、他
評価:8点
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