「オゲレツ映画大好き!」
1970年代、深夜上映の映画館から生まれたカルトムービーは、やがてアメリカ映画界を変えていった――ってことで、その深夜映画の代表作6作品を扱ったドキュメンタリー。
扱われているのは以下の6作品。
『エル・トポ』 監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』 監督:ジョージ・A・ロメロ
『ハーダー・ゼイ・カム』 監督:ベリー・ヘンゼル
『ピンク・フラミンゴ』 監督:ジョン・ウォーターズ
『ロッキー・ホラーショー』 監督:リチャード・オブライエン
『イレイザーヘッド』 監督:デビッド・リンチ
実は映画館に入ってから、上記6作品の中で観たのは『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』だけだったと気付いた……。
扱われている6作品には特別な思い入れがあったわけでもないんだけど(っていうか、観たのも『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』だけなんだが)、それでもドキュメンタリーとして楽しく観れた。
まず、何よりも深夜映画が持っていたアングラでカルトな雰囲気が凄かった。大麻を吸いながら映画が観られる環境って、日本じゃとても考えられない。
んで、当時にはなかったエログロ描写が大ウケしたってのも、なんだか嬉しい限り。
その一方で、『ロッキー・ホラーショー』のように制作者の意図を超えて、観客の熱狂をもって映画が盛り上がったという、そのエネルギーがなんとも羨ましい。
これら深夜映画のヒットに共通しているのが、観客の口コミによって人気が広まっていったってこと(独立系の深夜映画は広告も満足に打てない)。
『ロッキー・ホラーショー』に限らず、「新しいものを観たい」「ケバケバしいものを観たい」「とにかく面白いものを観たい」っていう観客の原初的な欲求を満たしていたからこそ、これらの深夜映画はヒッとしていったんだろうな、と考える。
そんなわけで、これらの映画に思い入れはなくても、これらの映画がいかに観客に支持されていたかという情熱みたいなものをみれたんで、それなりに面白かった。
でも、この熱狂も終焉を迎える。
その要因にビデオデッキの普及が挙げられてたけど、時期的には若干ずれてるような気がする。
むしろ、ベトナム戦争終戦などでアメリカ国内の雰囲気が変わったって方が影響が強いような気がする。っていうか、深夜映画が流行った要因として、ベトナム戦争とか公民権運動が挙げられていたわけだし。
あと、この時代以降のハリウッド映画が深夜映画の影響を受けている、っていうのも一部の真理であって、全てではないと思った。
実際のところは、どうなんでしょう?
そんなわけで終盤はドキュメンタリーとしての作り込みというか、検証がおざなりだったような気がしてもったいなかった。
『ミッドナイト・ムービー』(映画館)
http://www.cinemacafe.net/special/midnight-movie/
監督:スチュワート・サミュエルズ
点数:5点
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