令和元年度決算認定賛成の意見開陳 阿部力也
東京市長を務め、関東大震災後の復興担当大臣を務めた後藤新平氏は「大風呂敷」と評されたことはみなさんも周知のことだと思います。後藤氏は医師でもありましたが、震災後の東京復興のまさに大手術を行い、現在の東京の都市計画の礎を築きました。当時パリに倣った大規模な都市復興計画は出来もしない「後藤の大風呂敷」と揶揄されたそうですが、現在は高い評価を受けています。
世田谷区では、区民の安心と安全確保のため事業者でもある区の責務として区長がPCR検査の必要性を訴え、「いつでも、誰でも、何度でも」との強いメッセージが結果的に行政検査という位置づけとその全額の国庫支出金を見込めるようになったことは、賛否両論さまざまな議論があったものの、政治家である区長の「大風呂敷」が国をも動かす一定の成果があったと評価するものです。
また、国も地方もコロナ禍での行政のデジタル化の加速は、この数十年でなしえなかった速度での変化をもたらすものと考えます。「ペーパーレス」や「印鑑レス」はもちろん、今まで一般的な行政手続きで、わざわざ役所に行かなければ、出来なかったことが、インターネット環境があれば、自宅からもしくは何処からでも、役所に行かずに完結出来るようになります。
これはとりもなおさず役所の役割が変わるということです。
役所の「庁舎整備計画」や利用への考え方、職員配置や採用計画への考え方の、根本からの転換と、行政活動の中で今まで多くの時間と労力を費やしていたルーティンの事務作業が、デジタル化により合理化・省力化され、その代わりに「デジタル化できない区民サービスをいかに最大化するか」という仕事にシフトすることが求められることでしょう。
区職員のみなさんには、この変革の好機に果敢に挑戦して頂きたいと思います。
職員の皆さんはご存知の通り、区長は各省庁の大臣と同じように行政機関の中で行政庁として、区の意思を決定し、それを外部に表示する、原則一人の人間が担当する独任制の機関で、これは地方自治体の行政では、「いろはのい」です。つまり区長は一人で政策を決める権限があります。区長の挙げ足を取ったり、誹謗中傷とも取れる的外れの間違った認識が、ネットのSNS等で流布されていますが、これに惑わされることなく、行政庁である区長の補助機関として、意思決定されたコロナ禍における区民の「安心安全の確保」や「福祉の向上」といった政策実現に向けまさに区長を先頭に、ピンチをチャンスに変える活動に皆さん一人ひとりが主役となって邁進されますことを区民の代表として期待し、賛成の討論と致します。