おお、参議の旦那、ヒゲが濃いんだ。剃ったあとが青くなってるね。
この青くなったのが、おばさんはたまらないんだってね。
ずるずるになっちゃうんだってね。衣を脱いじゃうんだってね。
顔に似合わず奇麗な歌も詠んじゃうんだってね。
浅茅生(あさじふ)の小野の篠原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき
夕暮れ時になると、大川(隅田川)の川岸に、屋台の夜鷹そばやがやってくる。
かけそば一杯が10文。腹も減ったことだし、まあ話のタネに食べてみようかね。
夜鷹そば 昔は夜泣きそばと言っていた。夜鷹とは夜間に道ばたで客の袖を
引いた娼婦のこと。夜泣きそばが夜鷹そばと呼ばれた理由は、客に夜鷹が多か
ったからだとか、夜鷹と同じように夜になると現れて商売をしたからだとか、
諸説があるが、いずれにしても、あまりきれいなそばやではなかったようだ。
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万葉の貴族もダメだね。こんな美人を一人寝させちゃ。
ほら、音がするたびに誰かが忍んできたのじゃないか目が覚めてしまう。
木戸には塩盛りをしていつも開けてあるのに。
誰です、近所のうどんやのおばさんに似ているなんて言てるのは。
こんな素敵 で悲しい和歌も詠む才女なんですよ。
忘らるる 身をば思はず ちかいてし 人の命の惜しくもあるかな
文屋の旦那、いい男じゃない。これじゃぁ女にもてたんじゃないの。
白い肌に草の露が落ちてはじけたってことは、その人若い女なんだ。
おばさんなら、そんなにはじけるわけないものね。この色男! 風邪ひかせるなよ。
百人一首の歌も載せてあげるよね。
白露に 風の吹きしく秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける
飯盛り女って知ってますよね。昼間は旅籠の客引き。夜は念入りに化粧して
給仕女、そして客をくどいて誘惑する。鼻の下の長い旅人は彼女の餌食です。
住まいが見つかるまで、旅籠暮らしの山豚火は、飯盛り女の誘惑は無視です。
そうだっぺ、ああだっぺ、って姐さんどこの出身だい。おっぱいデカイね。
青嵐は、青葉の頃に吹く強い風のこと(夏の季語)
外は強い風が吹いているが清原の旦那はローソクの灯もとでがんばっちゃいました。
そこで詠んだのがこの一首だそうです。
夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ
ところで、清原深養父(きよはらのふかやぶ)ってへんな名前だね。
貫之の旦那、あんたもなかなかやるね。花器にさりげなく活けた梅一輪、
これで女心をつかんじゃったのだ。そうなれば後は意のままってわけね。
憎いね、この満足そうな顔は。この色男!
人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひけける
これが百人一首に詠んだ歌だね。これにも女性はころっとしちゃうんだ。
文政二年に創業の羽二重団子は、190年経った現在も
荒川区東日暮里の同じ場所で、営業しているのだ。
のんきに団子なんか食べているけど、住まいは決まったかって、
そう簡単に決まるわけがないでしょう。
いま日暮里、鶯谷、谷中、あたりを物色中なんです。
でも決まっても教えないからね。
あんなおかちめんこ振られるようじゃ、この藤原興風もおしまいじゃな。
「百人一首」にこの歌を残して隠居でもしようかね。と言ったとか・・・
隠居って女も絶つってこと? まあそれは藤原の旦那には無理でしょう。
誰をかも 知る人にせむ高砂の 松も昔の ともならなくに
あれ、友則の旦那、髪がずいぶん薄いんですね。結構なお年なんですか。
そんなお年で昼間っから女の子といちゃいちゃしちゃって! うらやましいよ。
ひさかたの 光のどけき春の日 にしづ心なく 花の散るらむ
百人一首に載っているこの歌、わりと有名ですよ。
女といちゃいちゃが、いい歌を詠む秘訣なんですかね。
明け六ッ(午前6時)の長屋の共同井戸は、女たちの
井戸端会議の場でにぎやかです。
お静さん、夕べ夜這いしたんだって、どうだった?
言ってるわりにはウブだよ。あたいの下で震えてんの。
ひぇ~かわいいね、山豚火は。
今夜はあたしの番だからね!!
花の散ってしまった女の会話は、すごいんです。