ダリア！
デイの大好きなお婆ちゃんが、
「色んなデイに体験に行ったのよ。でも此処に決めたのは、あなたがいたからなの」
ボクは、
「そうなんや？でも何でなんかな？」
お婆ちゃんは、
「あんたの微笑みがホンモノだったから」
ボクは俯いてしまう。
渡辺和子さんの本を読んでいる。
「ほほえみには、
その人の存在そのものを
認めるほどの力がある」
「生きていく自信を取り戻させるほどの力を持っている」
ほほえみにはそんな力があるんやろか？
なんだかなと思う。
ダリア！
ダリア！
カサブランカ！
営業会社にいた頃、毎日上司から、
「お前には笑顔しか無いよな」
と言われた。
何故か嬉しかった。
「一生の終わりに残るものは、私たちが集めたものでなく、私たちが与えたものだ」
という言葉が降りて来る。
この時代、現実の具体の渦の中でボクは何が出来るのだろう？
笑顔しかないんやろな😃
と思う。
退屈な木曜日、今日は休日なのです。
デイのレクの景品、ゴムで作ったミサンガを編んでいる。
午後のレクリエーションはチーム戦や個人戦でやっている。
景品があるのと無いのとでは、おじいちゃん、お婆ちゃんたちの戦意が違う。
景品があると、みんなの目の色が変わる。
年取っても競争心はハンパない。
手作りの景品に拘ってきた。
そして、自腹で材料を揃える。
誰からも邪魔されたく無い。
昔、あるおじいちゃんが
「施設の金なんだから全員に景品渡すべきじゃないか？」
と言った。
ボクは、
「この景品はボクが自腹切って作ってるんです」
おじいちゃんは、
「そうなんだ」
と言った。
デイの夏祭りのための提灯を作り始めました。
デイのおじいさん、お婆さんたち。
癒す人がいて。
癒される人がいて。
癒しの人がいる。
今日、デイの朝の会の司会をやる。
癒しの人、イサムさん。
ボクは、
「まずは日付の確認をしますよ。イサムさん、今日は7月15日ですけど何日でしょう？」
イサムさんはしばらく考えて、
「7月7日かな！」
ボクは、
「はい、正解です」
イサムさんは笑顔で手を振る。
お婆ちゃんたち、
「何が正解なのよ。何言ってんのよ。今日は15日でしょう」
ボクは、
「さて、イサムさん、今日は水曜日ですが何曜日でしょう？」
イサムさん、
「金曜日かな！」
ボクは
「正解です」
イサムさんは笑顔で手を振る。
ざわついたお婆ちゃんたちが、
「あんたね今日は、水曜日なんじゃないの？馬鹿言ってんじゃないわよ」
ボクは、
「イサムさん、今日は雨降ってますが、今日の天気は何でしょう？」
イサムさん、
「晴れかな」
ボクは、
「正解です」
イサムさんは笑顔で手を振る。
お婆ちゃんたち、
「何言ってんのよ。ガンガン雨降ってるじゃん！」
日曜日のデイの昼下がり。
コーヒーフィルターで朝顔の壁飾りを作りました。
幼い頃、4年前死んだ親父がボソリと呟いた。
「お前な、言い訳を糧に生きてはいけんぞ」
その頃、ボクは親父から怒られないのうに、言い訳ばかりしてたと思う。
この言葉が頭から離れない。
気づくと言い訳ばかりしている自分がいる。
情けない自分。
親父、でもそんな自分も愛おしいんだよ！