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桜の壁飾りが大分出来て来ました。
何年前だっただろう。
デイの利用者の児玉さんは、死が近づいていることを知っていたと思う。
彼はタクシー運転手だった。
ある日、七十歳の看護師の西さんが嗚咽を堪えるようにホールに帰って来た。
西さんは、中央にあるベッドで児玉さんの治療をしていた。
西さんはホールでボクの顔を見て、
「わ~」
と言って泣き出した。
ボクは西さんを抱きしめた。
西さんは、ボクに
「ねえ聴いてよ。児玉さんに言われたのよ。西さんは何故、大学の時、白血病になったのに、どうやって乗り越えたの?」
西さんは、
「大学の時、母がひとりでいたからかな?母のために病気を乗り越えたと思う」
と言ったという。
児玉さんは、
「そうか、やっぱり誰かの為なんやね
」
そして、児玉さんは、
「西さん、ボクはもうすぐ死ぬけど、ホントに楽しい人生だったよ。そして、西さんに人生の最後に出会えて幸せだと思う」
と呟いた。
ボクは西さんと泣いた。
神様、ボクは何をすればいいのか?
と、思った。