映画「一命」を鑑賞後リメイクの元になった作品「切腹」をDVDで観賞しました。
社会派監督小林正樹が、1963年に手がけた、初の時代劇で、カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した作品です。
茶々丸オヤジ、若い頃はまったく時代劇に興味がなく、しいて挙げれば黒澤作品しか観た事がなかったのですが、この作品には、感服しました。
映画「一命」では、役所広司演じる家老・斎藤勘解由と市川海老蔵演じる浪人・津雲半四郎と娘夫婦にスポットをあてて、武士の面子と武士の情けを対立させて描かれていたように思います。
切腹を強いられた娘婿の仇を津雲半四郎が果たす竹光が象徴のように思いました。
しかし、今回観た「切腹」は、丹波哲郎演じる介錯役の沢潟彦九郎と仲代達矢演じる津雲半四郎を中心に描かれ、両者の武士道の違いを描かれているように思いました。
二人の武士の姿には、異なる威厳と風格を感じます。特に仲代の姿には、生活に困窮しながらも、武士としての誇りが、心身ともににじみ出るような雰囲気を感じました。
また、仲代演じる津雲は、あくまでも徳川方についた大名と反徳川方との栄枯盛衰に対する憤懣たる思いも感じられました。
戦において、勝者と敗者を受け入れ、静かな生活を送っていた誇りある武士が、家族のあだ討ちを通して、武士の誉れを得たように感じられました。
当時、出演者と共に高い評価を得た作品ですが、今観ても、かなり楽しめる作品です。