私の本棚

※読書感想メイン

約束のない日曜日/井形慶子(著)

2022-12-24 | 井形慶子

【あらすじ】

『あなたが私を好きだった頃』の続編。

年上の恋人と別れて2年が経過したある日、共通の知人から「彼」が結婚したことを聞かされた井形さんは、彼との思い出が詰まったマンションを引き払い、人気評論家が所有する、古民家の、別宅へ引っ越しをします。

時、同じくして、著者が経営する会社が軌道に乗り、人手を増やすことになりました。

面接に現れたのは、著者よりも4歳年下の久住勇太。
今働いている会社を、すぐにでも辞めたいと切羽詰まった様子の勇太を見て、井形さんは雇用を決めます。


何でもそつなくこなす勇太は、社内の人気者になり、欠かせない存在となっていきます。


そして、井形さんにも少しずつ変化が、、、


【感想】

年下の久住勇太に魅かれていく自分に戸惑う姿と、勇太を受け入れる覚悟を、フルネームから下の名前で変えていくことで、心の変化を表現するあたりはさすがだなと思いました。

元恋人のへの思いを断ち切れてない井形さんにイラッとすることもありましたが、結果的にハッピーエンドで一安心。
勇太との、その後の関係がとても気になります。

『本当の愛は人を幸せにしようとする意志だ。愛は単なる感情ではなく、強い意志なのだと今さらのように気付かされたのです』

「あなたが私を好きだった頃」からずっと違和感があったのですが、元恋人は、最初から井形さんを幸せにしようと言う意思がなかったように思います。
元恋人との恋愛は、久住勇太に出会うために必要な、イニシーションラブだったのではないかな?



 


あなたが私を好きだった頃/井形慶子(著)

2022-12-18 | 井形慶子

 

初めてこの本を手にしたのは15年以上も前。
書店の新刊コーナーでタイトルが目に止まり、最初のページを開く

『あの人があなたを苦しめているのではなく
あなたがあなたを苦しめているのです』

 

この最初のフレーズが気になり、それからパラパラとページをめくって、購入を決める

 

実は再々読です。

 

「もし神様がさ、人生のどこかに戻してあげるって言ったら、どこに戻りたい?」

イベントの打ち上げにみんなで食事をしていたある晩のこと、1人の青年が突然大きな声で尋ねました。

青年はいつの頃に戻りたいか、真顔で尋ねるのに、皆は「母ちゃんのお腹の中」とか、「ダービーで当てた日」と叫び、だれ1人として真面目に答えようとはせず、彼を困らせていました。

 

多くの人たちはふざけて答えてる中、青年は、今度はこう質問するのです。

 

「じゃあ忘れられない人とかいるでしょ?初恋の時代に戻りたいとか、皆さん無いんですか?」

 

この青年の一言に、著者の井形さんは、過去の終わった恋を振り返るのでした。

 

 

初めて読んだ時は、自分の恋愛経験を思い出し、胸がキュンとなったのですが、再読した時は10年ぶりと言うこともあり、内容をほとんど忘れていて、新鮮な気持ちで読みました。

そして再再読となる今回は、井形さんは本当にフラれたのか?とモヤモヤとした気分です。

なぜなら恋人は、「別れよう」とも、「さようなら」とも言っていない。
「今の状況をわかってほしい」と、言って、井形さんの前から去っただけで、最後の言葉を井形さんに伝えてないと思ったからです。

そのせいか、最後の別れのシーンを行ったり来たりで、先に進ことができず、井形さんは、自分はフラれたのだと思い込んでいるのでは無いかとさえ思いました。

もし男性が口にした「今の状況をわかってほしい」が、別れの言葉だったとしたら、この男性はずるい。

別れの言葉をハッキリと口にしていれば、井形さんはここまでズルズルと引き摺らずに済んだのでは無いでしょうか?

 


夢をかなえるゾウ0/水野敬也(著)

2022-12-13 | 水野敬也

ガネーシャシリーズ第5段

上司から嫌がらせを受ける主人公「僕」
度重なる上司の嫌がらせに絶望感に苛まれた時、清掃員に扮したガネーシャに助けられる。
夢がないと言う僕は、ガネーシャから出された課題をクリアしながら成長する物語。


この小説を読まなければ、知ることが無かったガネーシャの生い立ち。
象になる前は、母のパールヴァティーが入浴中に身体の垢を集めて作った人形で、実はすごいイケメンだったとは。

詳しくはガネーシャ - Wikipedia で。

 

ガネーシャがモノリスになってしまう場面は、笑っては行けないと思いつつ、笑わずにはいられないし、声を出して笑ってしまいそうな場面が何度も出て来ます。

そして、最後の最後で釈迦のオチに爆笑しました。

 

一番心に響いたのは、夢を見つける上で大事なことは「痛み」を知ること。
悲しみや痛みは避けて通れるものではなく、そこには必ず意味があるのだと言うこと。

 

瀬戸内寂聴さんが生前、同じようなことを話されているのですよね。
苦労・挫折・屈辱を味わった人は幸せで、自分が経験したことは1つも無駄になっていないと話をされていたことを思い出しました。

僕が上司から受けた屈辱も、自身が経験したからこそ他人に対して優しくなれる。
上司と直接対決をし、会社を退職した彼が見つけた夢は、きっと輝く未来が待ち受けていることでしょう。

 

 

 

 


顔ニモマケズ-どんな「見た目」でも幸せになれることを証明した9人の物語/水野敬也(著)

2022-12-07 | 水野敬也
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私もコンプレックスの塊で、顔は昔から妹と比較されていました。

10年前に大病を患い、薬の副作用もあって10キロ以上太ってしまい

さらにコンプレックスは増すばかり。

ちょっとしたことでクヨクヨと考え込んでしまったり

誰かの心無い言葉に傷つき、頭から離れられないこと多々ありますが

世の中には私以上にもっと理不尽な目に遭っている人がいるのですよね

彼ら9人も、周囲から好奇の目で見られ

想像もできないような困難と

ここだけでは語り尽くせないような出来事もあったはず

見た目と向き合う姿勢は9人それぞれ異なるとは言え

自分のコンプレックスと上手に付き合っているのに

それに比べて、私はなんて小さい人間なのか

自分の顔と体型の悩みなんて、本当に小さい

9人から生き方や考え方を教えられました。