幾星霜経ても、人は変われど自然は変わりません(最近はそうでもないですが)。
深まる秋、ようやっと良い季節を楽しめると思いきや、もう立冬なのです!
今から1世紀近く前の秋はもっと長く楽しめたのでしょうね?
さて、1936年秋は、木々の彩りも多分今よりずっと綺麗だった事でしょう。
しかし世界政治は不穏な空気に包まれていました。
それは第二次世界大戦前夜だからでした。
この頃の日本ではおよそお気楽な歌が流行っていたのですよ。
それが芸者出身の美人歌手、美ち奴の歌った『うちの女房にゃ髭がある』と
『あゝそれなのに』です。
『うちの女房にゃ髭がある』
「なにか言おうと思っても
女房にゃなんだか言えません
そこでついつい嘘を言う
「なんです あなた!」
「いや別に僕は あのその」
パピプペ パピプペ パピプペポ
うちの女房にゃ髭がある」
1936年(昭和11年)は大正ロマンやデモクラシーの名残りが未だあったようですね。
それにしても、戦前も恐妻はしっかり存在してました。
さてご主人の嘘って何でしょう?
それが、
『あゝそれなのに』
「空にゃ今日もアドバールン
さぞかし会社じゃ今ごろは
お忙しいと思ったに
あゝそれなのにそれなのに
ねえ
怒るのは怒るのは あったり前でしょう」
ちなみにアドバールンとは当時の青空に浮かぶ巨大な広告の風船の事です。
どうも母親から独身時代(つまり戦前)の話を聞き過ぎたお陰で私も同時代を生きてきた錯覚があります。戦前の歌や暮らしを自分が送ってきた感じでございます。
何が「あゝそれなのに」なのか、大人の方は(大人じゃなくても)お分かりですね?
家電のない家で子供の世話と家事に明け暮れる主婦は、楽しみはラジオから流れる音楽であります、自分と同様一生懸命真面目に働くのが我が夫と信じております。
ところがところが、、、なのでした。
しかし、この翌年この歌のレコードは販売停止となりました。
庶民の戦意を消失させるからです。
戦争とは実はじわじわ忍び寄るというより、突然思いもしない形で罪なき庶民に襲いかかってくるようです。怖いです。
「そうかなあ?戦争ってじわじわくるもんじゃない?」
と思う方が多いかも知れません。
ところがところが、なのです。
ウクライナ戦争が始まったのは唐突に思えるロシアの攻撃でなかったですか?又湾岸戦争は9.11の同時多発テロからでした。
つまり、その国の逼迫感から(主に経済問題)それぞれの国のトップが知る不都合事実はじわじわ忍び寄りますが、戦いの形はある日突然なのです。トップが決心しなきゃ戦争は起こらないのです。
実は、昭和11年は2.26事件の起こった年なのです。そして庶民がビックリしたこの事件によって日本は戦争への道を進んでしまったのです。日本政府の穏健派の内閣の主要メンバーは青年将校によって暗殺されました。
これを密かに喜んだ(?)のが軍部です。煩いお偉方が血気にはやる軍部の異分子(とされた)によって一掃されたからです。勿論異分子の青年将校は処刑されてしまいます。
間も無く軍部主導の内閣が出来たのです。
そしてその年の11月ワシントン軍縮条約は破棄されて翌年「あゝそれなのに」のレコードは発禁処分を受けました。
あくまでも、今迄の知識から得た私の考えであります。ご意見は色々あると思います。その時代庶民に厳しいインフレがあって景気が悪化してた事は確かですが。
でも、
『うちの女房にゃ髭がある』
『あゝそれなのに』
にが何故発禁なのか?私にも理解出来ないところはあります。
まさに戦争は「あゝそれなのに」なのです。髭のあるのは女房で沢山だと思うのですが。
蛇足:
本日のお昼は鍋焼き天ぷらうどんです。
鍋にだし汁を入れて、うどん玉を入れて煮た後、油揚げ、解凍した天ぷら、青葱を加えてちょっと煮て出来上がりです❣️
冷凍海老は市販の冷凍食品で、便利に使えますよ。