「成人式行くのやめました」――。20歳の男子学生のSNS投稿が注目を集めました。式典が執り行われた会場に足を運ぶことなく、自らチョイスした選択肢は、1人でカフェで過ごすこと。成人式不参加の背景には、新型コロナウイルス禍の「孤独」があったそうです。当事者の男子学生に、胸中とこれからの理想像について聞きました。
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「家族にはとても言える状況ではなかったです」
「成人式行くのやめました
親には行けと言われたのでカフェで時間を潰して帰ります
後悔はないです
ここから楽しい人生が来ることを心から祈ってます」
こうX(ツイッター)に投稿したのは、りひとじぇらーど(@rihito_gerrard)さんです。コーヒーカップを写したカフェ店内での一幕の写真を添えました。
詳しい話を聞くと、思い悩んだ事情が見えてきました。
りひとじぇらーどさんは、中学時代はとても楽しい日々を過ごしてきたそうです。高校は両親と話し合い、他府県の高校へと進学。ここで、困難が訪れます。「あまりにも違う生活スタイル、そして環境についていけなかったです」。
こうした中で、新型コロナウイルス禍に見舞われてしまいました。コロナ禍によって社会全体でコミュニケーションが希薄となってしまい、りひとじぇらーどさんも苦労したそうです。「コロナ禍で、さらに孤独になっていきました。私は人と関わることをどんどん避けていくようになりました」。次第に、地元の友達との人間関係にも変化が生じます。
「昔の頃のことを思い出すのが嫌なのと、高校で友達がいないことを理由にいじられることが多々あったので、地元の友達と会うことも避けるようになりました」と振り返ります。
そして迎えた成人式。スーツを着て家を出たものの、式典会場に赴くことはありませんでした。「両親には行けと言われましたが、行くのが怖かったです。昔のように話せるのかが不安になったり、高校の時に楽しめなかった自分が嫌になりそうだったからです。
私の場合は、友達がいないことやいじめられたことよりも、高校時代とコロナ禍で精神的にやられたことが行かなかった大きな要因です」と、心中を明かしてくれました。
ご家族に対しては、「家族にはとても言えなかったので、『成人式には行った』と言いました。両親の悲しい顔を見たくなかったし、スーツ姿にとてもうれしそうな顔をしていたので、とても言える状況ではなかったです。ただうそをついていてとても心はしんどかったです」と話します。
投稿は大きな反響を呼んでいます。7万件を超える“いいね”が付いており、ネット上ではたくさんのコメントが寄せられています。「行く行かないが大事ではなく、行かないという選択にあなたが勇気を使ったなら正解だと思います」「いいよいいよ。行きたい人だけ行けばいいのよ。私も行かなかったよ。
同じような人結構いるよ」「成人式に行く事にストレスを感じるのであれば正しい判断です!」「楽しい人生は来るのを待つものではなく自分から掴みに行くものですよ!」「これからずっとそうやって自分自身で選択していけばいいと思うよ 自分の人生だからね」。
不参加への共感に加えて、前向きな人生を送るためのアドバイスを送る内容も多数見受けられます。
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地震で負傷者殺到の珠洲市総合病院、入院患者4割を被災地外へ転院措置…「不休の医師ら限界」
2024/01/08 22:06
(読売新聞)
震度6強の揺れに見舞われた石川県珠洲すず市の市総合病院が、入院患者の約4割を別の医療機関に転院させる方針を決め、ヘリなどを使った搬送を進めている。不休で治療にあたる医師らの疲労がピークに達し、水や食料も不足して「医療体制がもたない」と判断。今後、避難所などで体調を崩す被災者を受け入れるケースが増えると想定され、医療現場はぎりぎりの局面となっている。
災害拠点病院となっている同病院(163床)には、地震直後からけが人が次々と運び込まれ、待合スペースも被災者であふれた。
一時断水となり、自衛隊などの協力で復旧したものの、十分な治療・検査やトイレなどに必要な水量には届かず、栄養のある食事の提供も困難に。病院スタッフも自宅が損壊するなどの状況を抱えながら、院内や避難所に寝泊まりして働き続け、逼迫ひっぱくした状況だという。同病院の石井和公かずきみ事務局長は「職員の疲労が限界に来ている。このままでは病院が維持できない」と明かす。
このため入院患者約100人のうち、早期退院が見込めない内臓疾患などの患者を中心に、40人程度を被災地以外の医療機関に転院させる方針を決め、6日からドクターヘリなどでの搬送を始めた。
市内では8日午後2時現在、計6617人が避難所で生活しており、長引く避難生活で感染症や低体温症などのリスクが高まっている。同病院の患者搬送をチームで支援している滋賀県草津市の淡海医療センターの藤井応理まさのり医師は「災害関連死を防ぐためにも、『最後の砦とりで』であるこの病院の機能をなんとしてでも継続することが求められる」と話した。