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札幌・円山生活日記

三岸好太郎生誕120年・美術館新館開館40年「三岸好太郎再発見!」-同時開催「もっと知りたい三岸アトリエ」~北海道立三岸好太郎美術館~

札幌出身で日本近代洋画史を彗星のごとく駆けぬけわずか31才で夭逝した画家「三岸好太郎(みぎしこうたろう)」の作品を収蔵し画業を紹介する「北海道立三岸好太郎美術館」。「知事公館庭園」北側の木立が茂る中に佇むアトリエのような美術館です。その美術館新館開館40年と三岸好太郎生誕120年を記念する展覧会「三岸好太郎再発見!」が10月7日(土)~12月5日(火)の会期で「もっと知りたい三岸アトリエ」と同時開催です。

本日は「北海道立三岸好太郎美術館」で【三岸好太郎生誕120年・美術館新館開館40年記念「三岸好太郎再発見!」/同時開催「もっと知りたい三岸アトリエ」】の鑑賞です。同美術館は「西18丁目」駅で下車し「北海道知事公館」や「北海道立美術館」の北側で駅4番出口から徒歩10分程です(地図)。
「北海道立三岸好太郎美術館」の外観。
札幌生まれの三岸好太郎(1903-1934)は、画家となることを目指して、18歳の年に上京。美術界の新しい動向を貪欲に摂取し、目まぐるしく作風を変遷させながら、画家として頭角を現しました。
 31歳の若さで夭折し、その画業は10年ほどの短いものでしたが、近代感覚にあふれた清新なイメージの世界を切り開き、日本の近代洋画史に忘れることのできない足跡を残しました。
 今年は、三岸好太郎生誕120年、そして新館開館40年の節目に当たります。日本の1920年代から30年代にかけての先鋭的画家のひとりとして位置づけられる三岸好太郎。本展は、その画業と作品をこの機会に見つめ直し、その芸術の特質を丁寧に振り返ろうとするものです。
 「庭」「線」「対角線と水平線」「グレー/ホワイト」「影」など、三岸の造形世界を支える特色ある要素に注目し、その魅力の源泉へとさかのぼります。時を経てますますみずみずしい輝きを放つその絵画の魅力に、あらためてふれていただく機会となれば幸いです。
展示会場1階。

「31歳の若さで急逝した夭折の画家・三岸好太郎氏」。


今回の記念展では、「庭」「線」「対角線と水平線」「グレー/ホワイト」「影」など三岸作品の特色ある要素に注目し展示しています。こちらは「対角線と水平線」の構図作品のコーナー。
三岸好太郎《道化役者》1932(昭和7)。お馴染みの作品で現存する三岸作品で最大のものだそうです。
三岸好太郎《マリオネット》1930(昭和5)。不気味な笑いを浮かべる人形。
三岸好太郎《南部の跳躍》1932(昭和7)。対角線構図の3作品です。

2階の展示会場へ。
「匂うような灰色」の作品。
三岸好太郎《乳首》1932(昭和7)。絵具を掻き削る「ひっかき」の技法が用いられた作品。
同じく「ひっかき」技法による代表作の一つ三岸好太郎《オーケストラ》1933(昭和8)。
今回の目玉展示でしょう。《オーケストラ》の裏に書かれた作品【三岸好太郎《悪魔》1932(昭和7)】を特別設えの額で裏からも鑑賞できるようになっています。

三岸好太郎《大通公園》1932(昭和7)。「匂うような灰色」の「大通公園」で西3丁目辺りから東方向を眺めた図柄だそうです。
「影」が印象的な役割を果たす作品群。
三岸好太郎《のんびり貝》1934(昭和9)。
三岸好太郎《飛ぶ蝶》1934年(昭和9年)。以上が「三岸好太郎再発見!」でした。所蔵品展なので見慣れた作品ばかりで既視感は否めませんが作品の迫力と魅力は改めて感じます。


同時開催の「もっと知りたい三岸アトリエ」。
東京都中野区鷺宮に位置する「三岸アトリエ」。三岸好太郎が構想し、バウハウスに学んだ建築家・山脇巌が設計し、1934(昭和9)年10月に竣工した、国内最古の木造モダニズム建築です。三岸はこの年7月に旅先の名古屋で急逝しており、アトリエの完成を見ることはかないませんでした。しかし同年11月、節子夫人は「故三岸好太郎作品遺作展覧会」をこのアトリエで開催。この展覧会に訪れた人々は、三岸の絵画が飾られたアトリエの空間そのものから、三岸の芸術世界を体感したことでしょう。
 節子夫人は、この建築をアトリエ兼住居とし、家族とともに30年ほど暮らしました。1958(昭和33)年に改築され、現在は、三岸好太郎・節子の孫の山本愛子氏とひ孫で「アトリエM」代表の山本潤氏が保存・管理を担っています。2014(平成26)年には、「施主の感性とバウハウスで学んだ設計者の理念が具現化された、都内でも希少な戦前の木造モダニズム建築」として、国の登録有形文化財となっています。
 昨年開催した「アトリエへようこそ」展は、当館で初めて三岸アトリエを紹介するものでした。それに続く本展では、三岸アトリエの三つの個性的な造形要素である「赤い扉」「青い窓枠」「スパイラルの階段」に焦点を当ててご紹介します。三岸好太郎の代表作とともに、写真パネルや映像で三岸アトリエの建築空間をご覧いただき、空間としての魅力と、そこに反映された三岸の芸術的感性の粋を、感じていただければ幸いです。
 
会場中央に展示された三岸好太郎《赤い肩掛けの婦人像》1924(大正13)。モデルはこの年の秋に所帯を持つことになる吉田節子(のちの画家・三岸節子夫人)。三岸好太郎氏亡き後も氏の遺志を引き継ぎ残された「三岸アトリエ」を完成させたという節子夫人の意志の強さが感じられる肖像画です。
「三岸アトリエ」の1/30の模型。
高野ユリカ氏による「三岸アトリエ」の写真。赤い扉のエントランス。
中庭。
スパイラルの階段と青い窓枠の南窓。壁の色は三岸作品に使われるグレイ。

2階和室。立派な歴史的建造物のアトリエ兼住居でした。「三岸アトリエ」は現在見学は予約制でテレビ/映画のロケなどにも使われるそうです。


「北海道立三岸好太郎美術館」の2階吹き抜けから見た中庭。何となく東京都中野区鷺宮の「三岸アトリエ」の雰囲気を感じさせるようなデザインでした。以上で本日の鑑賞終了です。ありがとうございました。
「北海道立三岸好太郎美術館」南側の「北海道知事公館」。夏季期間中は庭園を抜けて三岸美術館まで歩いて行けますが現在の中庭は冬季閉鎖中です。

「北海道立三岸好太郎美術館」
札幌市中央区北2条西15丁目 011-644-8901
営業時間 9時30分~17時 ※入館は16時30分まで
定休日 月曜(祝日の場合は翌火曜)、年末年始、その他展示替え期間など臨時休館あり。

【三岸好太郎生誕120年・美術館新館開館40年「三岸好太郎再発見!」/同時開催「もっと知りたい三岸アトリエ」】
主催:北海道立三岸好太郎美術館
会期: 2023.10.07(土) - 2023.12.05(火)
開館時間:午前9時30分~午後5時(入場は午後4時30分まで)
休館日:月曜日、年末年始
観覧料:一般510(420)円、高大生250(170)円  
*( )内は10名以上の団体料金
*中学生以下、65歳以上無料
*身体障害者手帳や療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方(ミライロID利用可)およびその介護者(1名)などは無料
*高校生は毎週土曜日および学校の活動で利用する場合は無料
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/mkb/
(2023.12.5)

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