第二次世界大戦後、日本は、それまでの歴史から学び、負の遺産を清算して平和的、民主的な国家社会を形成してきました。「平和ボケ」と悪い言い方をされてしまうほどです。
私はアメリカで第二次世界大戦の爪痕を垣間見ることの出来るミュージアムを何箇所か訪れる機会がありました。その中でも記憶に残るミュージアムが2つあります。1つは、Steven F. Udvar-Hazy Center。もう1つは、 National Museum of the Marine Corpsです。
National Museum of the Marine Corps (国立海兵隊博物館)は、アメリカ海兵隊の歴史について各種資料や実物が展示されており、とくに太平洋戦争とベトナム戦争のコーナーは当時の激戦を物語っていました。
こちらが戦時中の日本についてのエリアです。
ナチスドイツと同じ括りになっていましたが、これは仕方のないことです。
アメリカ側から見た日本が偏見なく語られていたことに少し安堵しながら見学をしていると、「どこからいらしたんですか?」と制服を着た感じの良い白人ジェントルマンに声をかけられました。おそらく退役軍人の方でしょう。
「JAPAN」と返事をすると、「JAPAN!!」と文字通り彼は目を真ん丸くして驚き、「よく来てくれた。私はとても嬉しい!」と満面の笑みを浮かべました。もう一人べつの館内の方が加わり、私とBFの4人で軽く雑談をしていると、「教えてほしい漢字がある。調べてもわからない。」と言ってこちらの前に連れていかれました。
『規律嚴守』『敬禮勵行』
読み上げると「それはどういう意味?」と訊かれました。そこで英語が堪能なBFが説明をしましたが、あまりにも説明がアバウト過ぎて、きちんと意味が伝わったかは定かでありません。(笑)
最後に握手をしてその場を離れました。この小さな交流は、それまで少し重い気持ちで戦争の傷跡を見ていた私たちの心にささやかな潤いを与えてくれました。
そして、もう一つのミュージアムは、Steven F. Udvar-Hazy Center(国立航空宇宙博物館別館)。こちらはスミソニアン博物館群のひとつで、実際に使用された航空機や宇宙船が展示されています。
スペースシャトルよりも日本人の心に語りかけてくるもの、それはやはり原爆を投下したB29『エノラゲイ』でしょう。
終戦後にアメリカが持ち帰った日本の戦闘機も数多く展示されていました。
特攻機『桜花』などを見ると、胸が詰まります。
8月6日の今日という日に、エノラゲイの画像を載せるのが適切かどうかはわかりません。しかし、広島に原爆が投下された今日だからこそ、過去に目を向けて学ばなければいけないのかもしれません。
日本には戦争に関する国立の博物館がありません。敗戦国なので戦争を物語る遺品が少ないということもありますが、戦争を学べる場所がもっとあっても良いのではないかと思います。
戦争と平和。
これは人類の永遠のテーマなのでしょう。