忙しい日々が続いています。
来年まで滞在予定この土地。職場環境に問題はなく、仕事にもやり甲斐を感じています。この土地を去るときがきたら、私はどのような気持ちになるのでしょう。少しの寂しさと次の土地への期待…といったところでしょうか。
帰る家を持たず、私はいつまで今の生活を続けるつもりなのか。しかし、私は現在52歳。一般的な考え方とは違うかもしれませんが、年齢を考えると「今」をどこの土地でどのように過ごすかというのは、私にとってとても貴重なことなのです。
毎朝眺めている朝焼けに染まる空と海。
ドイツの牧師、パウル・ゲルハルト作詞の古い讃美歌を思い出しました。思い出したと言っても、冒頭の部分とところどころの雰囲気だけで、決して暗記しているわけではありませんが…。
原題『Gu Die güldne Sonne, voll Freud und Wonne 』
(黄金色の太陽、喜びと幸いに満ちて)
黄金色の太陽は喜びと楽しみに満ち
ままならぬ私たちは
その輝きによみがえりのめぐわしい光を受ける
今こそ私たちは立ちあがって
心ほがらかに晴れやかに 顔を上げて 空を眺める
神の救いとみめぐみは 私たちの心の耐えがたい痛みを癒し
私たちをこの世で またとこしえに やすらわせたもう
十字架も苦しみも ここで終わりを告げ
荒れ狂う海も 立ち騒ぐ風もおさまって
憧れの陽の光がここに輝く
満ちあふれた喜びと清らかな静けさ
空の園生(そのお)で私の待つはそれ
その地へと私の思いはこがれる
*
この讃美歌は、ヨハンナ・スピリ原作の『ハイジ』に出てきます。日本のテレビアニメ『アルプスの少女ハイジ』でも朗読されていました。
私の記憶の中での『アルプスの少女ハイジ』は、私が小学校5年生の夏休みに再放送で見たものです。その年の夏、父が病に倒れて入院しました。父の見舞いに訪れた福島の伯父が、「夏休みなんだから福島においで」と、そのまま私を連れて帰ってくれたのです。
私が大人になってから聞いた父の話によると、「お前がまだ小学生で、そのことを心配していたら、”夏休みの間はうちで預かる。だから何も心配するな。”と福島の伯父さんが言ってくれたんだ。…だから福島の伯父さんには本当に感謝してる。」
福島で過ごした夏休み。
画像は昨年、アメリカから帰国直後に撮ったもの。伯父も伯母もすでに他界していますが、私にとっては第二の故郷と呼べる場所です。今も変わらない優しい風景。
ひとりで見ていた再放送の『アルプスの少女ハイジ』。懐かしいです。
*
きっと今のこの土地を去ったあと、懐かしく毎朝眺めているこの景色を思い出すことでしょう。
夜は沿岸の灯りが見えるのですが、朝でも目を凝らすと沿岸の家々が見えます。
そして海に浮かぶ一隻の船。静かな海。
〜荒れ狂う海も 立ち騒ぐ風もおさまって
憧れの陽の光がここに輝く
満ちあふれた喜びと清らかな静けさ〜
ある日の午後、いつものように海を眺めていたら一羽の鳥が私の視界を横切っていきました。