タイ文字が登場するチュラ大のThai 2を優秀な成績で修了し、今や先輩となってしまったクラスメイトのたまちゃんからLINEが来た。その後バンコクに残っており、休日にはプロンポンやトンローといったスクムウィット通りの繁華街の開拓に余念がないらしい。そのたまちゃんが言うには、BTSトンロー駅にほど近いスクムウィットソイ(路地)57をほんの少し入ったところ、ルーフトップバーで有名なマリオットホテルの向かいに夕方から出店する海鮮屋台「タレーパオ」がなくなってしまったらしい。屋台規制の波を受けてとのことだが、これは私にとっては大事件である。なぜなら、私のお気に入りの屋台No.1であるからだ。
タレーパオは屋台ながらに店の前に生簀を置き、中で泳いでいる活きの良い手長エビやワタリガニを注文に応じて炭火焼にするという本格派。野球に例えるなら、100マイルのフォーシームを真っ向から投げ込む投手だ。生暖かい夜風と喧騒の中で、熱々の手長エビの殻を剝いて、たっぷりのエビ味噌を啜り、冷えたビールを流し込むと、バンコクの街と同化していく自分を感じる。手長エビ1kgが750バーツ(約3150円)、一尾150g位なので7-8匹はある。0.5kgの注文もOKなので、二人で頼めば、一人2尾ずつ分け合うこともできる。美味しいのはエビやカニだけでなく、小ぶりの赤貝に似たホイクレーン(ホイはタイ語で貝)焼き、ツブ貝と思われるホイワーン焼き、それに極めつけは生ガキだ。タイで生ガキとは自殺行為だと敬遠する人も多いが、私はここで安心して幸せに浸っている。おなかを壊したことなど一度もない。魚も鯖のホイル焼きが秀逸で、九州醤油に近いタイ醤油の甘みと鯖の脂がマッチして、懐かしくも嬉しい味だ。店主によれば、これらの魚介はバンコクの西にあるマハーチャイという港町から持って来ているとのこと。
屋台には洗面所がないので、ビールを飲みすぎると困ったことになると、先読みして心配する紳士淑女もおられよう。しかし、そこはアメイジングバンコク!大きな声では言えないが(笑)、向かいにゴージャスなマリオットホテルがあることを思い出していただきたい。実は何らの問題もないのである。
愛するタレーパオが撤退した知らせはかなりの衝撃であった。でもタイの人達は思いの外逞しい。きっとどこか場所を変えて営業を再開するに違いない。次の出会いを信じて待つこととしよう。