年末年始映画漬け企画レビューのラストです、「ゆれる」。そして、オダギリジョーシリーズも、とりあえずここで一段落(笑)。
あらすじ…
カメラマンとして東京で活躍する弟(オダギリジョー)と、実家のガソリンスタンドで働く兄。母の一周忌で久々に帰省した弟と、幼馴染の女の子と三人で出かけた渓谷の吊り橋で兄と二人っきりの時に女の子が転落死してしまう。果たして事故死だったのか、殺人なのか。裁判が進んでいく中で垣間見える、今まで語られなかった兄の心情。次々と変化を見せる、兄の顔。それを知った時、弟は…
家を出て自分の道を進む弟と、家に残り田舎町で生きる兄との間にいつしか生まれた、(あるいは見て見ぬふりをしていた?)微妙な気持ちのすれ違い。千々に入り乱れる夢と理想と現実と、過去の思い出。見えてきた想いと、見失った想い。生き方を別った兄弟の気持ちの揺れが淡々と描かれていて、切なかった。
人は、自分の為だけには生きられない。交錯するいろんな人の想いに揺られながら、それでも自分だけの道を探して。きっと辿りつけると信じて。己の生きる道を信じられなくなった刹那、人は何を想うのだろうか。泳ぎ疲れた人は、その疲れを何で癒すのだろうか。
人の心は揺れる。
吊り橋のように、ゆらゆら。
それでも信じていける何かを探し求めながら。