見上げた空、野に咲く花、街路樹の紅葉…人が何かを美しいと感じるとき、そこには特別な理由などないのかもしれない。けれど、心奪われるほどの感動を伴った美しさには、その一瞬の輝きの裏に隠された魂の物語が存在するのだということを羽生結弦という人に教えてもらった。
彼は、子供のころの純粋な夢を変わらずに抱きしめ、どんな汚れた濁流の中にあろうとも、決して汚され流されることなく、目指す道を見失わなかった人。たった1つの大きな夢を叶えるために、手にすることができたはずのたくさんの夢や幸せを諦めてきた人。
目の前にどんな壁が立ちはだかろうとも、瞳の輝きを失うことなく前に進み続けた人。人からの好意や想いを大切にし、どんな相手に対しても感謝の心と誠意をもって向き合ってきた人。雨の日も、風の日も、晴れて気持ちがいい日にも、ただひたすらに己の研鑽のために生きてきた人。
そして、その人生をかけて手にしてきた数々の輝かしい功績を惜しげもなく誰かのために差し出すことができる人。 彼が氷上で紡ぐ世界には、そんな彼の魂の物語が込められている。だからあんなにも美しい。東京ドームで描かれる物語の続きが楽しみだ。
そして、この先もずっと、彼の物語は続いていく。
私達の心に、優しい光を灯しながら…。