チカログさんの解説動画を見せていただいてプロの目線って凄いと思った。細かなステップをどう取っているのか、この動きはどこの音を拾っている、これは表取り、これは裏取り、なんなら、息継ぎまで拾っていると丁寧に説明してくれたおかげで、漠然と感じていた羽生くんが体で奏でている音楽というものを、はっきりとこの目で見ることができるようになった。
すると、歴代のプログラムが急に4K画像になったかのように鮮やかに感じられるようになって、あまりの素晴らしさに震えている。羽生くんってなんか違うんだよ、なんかひきこまれるし、心地いいんだよ、ってもどかしく感じていたものがはっきりと輪郭を持つことで、こんなにも明確に突出した技術と表現力と音感を持っている人だったのだということが、素人の私にもわかるように。
北京EXの「春よ来い」では、最初のフレーズで羽生くんがそっと開いた手のひらが音を奏で、柔らかなピアノの旋律とともに舞う春の妖精のような美しさと儚さに涙が出た。チカログさんの解説動画に取り上げられていたプログラムみたいに激しくリズムを刻む曲ではないのに、ふわりふわりと舞うように、体が音を奏でているのがはっきりと見える。
このプログラムについては何度も形を変えて感想を綴ってきたけれど、きっとどれも足りない。羽生くんが春であり、花びらであり、渦巻く感情であり、プログラムそのものなのだから。スピンの回転すらも音の一部となり(平昌のバラ1では、演奏に合わせすぎてスピンのレベル落としたと言ってたくらいだもんね)、最後の一音、余韻が消え去るまで大切に、大切に、包み込むように音を感じる。去り際を惜しむような観客の声がその尊さを物語っているのがわかる。
私はこの演技がきっかけで羽生くんの演技の虜になり、この沼の住人になったのだけれど、もう、そういう運命だったとしか言いようがない。出会ってしまったのよ、春の妖精に。
ところで、これって、公式さんから出ている動画ですよね。
羽生くんの「春よ来い」は1:44’20”くらいから。
ちなみに、40’00”くらいから宇野くんがマイケル・ジャクソンの曲で滑っている。