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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

明治神宮大会2021ファイナル  大学野球史に残る激闘の末

2021年11月26日 | 大学・アマ野球

今年の学生野球を締めくくる明治神宮大会。

高校の部の決勝は、
大阪桐蔭が広陵の投手陣を打ち崩して11-7で快勝。
すべてのタイトルを手に入れている「高校野球の絶対王者」大阪桐蔭が、
初めてこの「秋の日本一」ともいえる明治神宮大会のタイトルをも手にしました。

毎試合爆発する打線はこの日も爆発。
序盤からヒットを連ねて、
終わってみれば18安打11得点。

この日は”スーパー1年生”のエース前田はベンチスタート。
投手陣は中盤に少し不安定なところを見せたものの、
最後は前田が2イニングをきっちりと締めての快勝でした。

このチーム、
本当に負ける要素が見当たらないほどの、
素晴らしいチームです。

そしてここから「大阪桐蔭の冬」を超えると、
さらに見違えるように成長曲線を描いて、
選抜に登場するというわけです。

現段階ではちょっと、
大阪桐蔭に伍していける高校のチームを見つけるのは困難です。
多分ライバルになるのは同じ近畿地区のチームでしょう。

経験豊富な昨年春夏の4強進出チームである京都国際、天理、近江が選抜にも出場してくる見込み。
これらのチームが大阪桐蔭にどう対峙できるのか、
そのあたりが「唯一の注目点」なんじゃないかと思っています。

高校サッカーの青森山田並みに、
全国大会でも負ける確率は低いのではないかな?
それが今の時点での見立てです。


さて、
注目の大学の部。

決勝は、
六大学史上初の「年間4冠」、
要するに「1年のすべてのタイトルを手にする」のにあと1勝までやってきた慶大が、
初めての栄冠を狙う中央学院大と激突しました。

慶大の先発は左腕の増居。
この大会で2試合7イニングをわずか被安打1と好投。
十分にスタミナを残してのこの日の先発だったので、
試合の焦点は「中央学院大の集中力のある打線が、いかに増居を打てるのか?」
というところだと思っていました。

試合は慶大が1・2回に4点を先取。
2番の萩尾が2ランとタイムリーの4打点。

正直この時点で「試合は決まったな」と思っていましたが、
実は試合は”ここから”でした。。。。

増居は3回までリードにも守られて、
いつものようにすいすいと投げて中央学院に的を絞らせないピッチングで無失点。

しかし中盤に入った4回から、
試合は激しく動き始めました。

4回裏の中央学院大。
まずはキャプテン・武田のフェン直3塁打から反撃ののろしを上げると、
この回に2点を返して「試合は分からないぞ」という気勢を上げます。

1点を追加され再び3点差になった5回には、
またも武田のヒットから攻撃が始まり、
佐藤が2ランを放ち1点差。

ここで慶大は増居からリリーフ陣にスイッチ。
しかし次の6回、
中央学院大は慶大の生井から1死満塁のチャンスをつかむと、
ここでも登場した武田が、
今度は満塁一掃の2塁打で3人を還して大逆転。

その後渡会の2点タイムリーも飛び出して、
この時点で9-5と逆に4点のリードを奪います。


中盤一方的に押されっぱなしだった慶大は、
逆転された7回から目覚めます。

広瀬のバックスクリーンに飛び込む大ホームランで反撃ののろしを上げ、
朝日の犠牲フライも飛び出し2点差。

8回は1死1・2塁のチャンスをつかむと、
前の打席でホームランを放っている広瀬を迎えました。

ここで広瀬が放った打球は、
前の打席と同じような高い弧を描いてバックスクリーンに一直線。
「いった~~~~!!!」
という打球でしたが、
フェンス直前で無念の失速。
惜しすぎるあたりで大逆転はなりませんでしたが、
次の橋本がタイムリー2塁打を放ち1点差に追いすがります。

なおも2死2・3塁と逆転の大チャンス。
迎えるのは慶大のキャプテン福井。
大阪桐蔭時代から何度もここぞで打ってきたキャプテンを迎えてしびれる場面でしたが、
中央学院大の抑えのエース・山崎がここで渾身のピッチングを見せ、
福井を三振に切って取り3アウト。
慶大は追いつくことができませんでした。


慶大1点のビハインドで迎えた最終回。

8番から始まる打順でしたが、
8・9番が魂の連続ヒットで無死1・2塁。

ここで迎えるは、
オリックスにドラフト4位で指名された渡辺遼人。

守備、走塁での貢献度は高いものの、
この大会ではまさかのここまで無安打。
「学生最後の試合」での、
ひょっとしたら最終打席となりました。

このチャンスに巡ってきた打席で、
「このままでは終われない」渡辺は粘って粘って8球目。
「来た!」
とたたいた球は、
左中間に一直線。

「いった~」

と思ったら、
中央学院のセンターが見事な左中間寄りの守備位置を敷いていて、
このライナーをつかんで1アウト。

しかし次は、
この試合当たっている4打点の萩尾。

期待されましたが、
打った打球は詰まったピッチャーゴロ。

ピッチャーは捕って2塁へ。
しかしこの球が低くハーフバンドの送球!!!

ドキドキのシーンでしたが、
中央学院大のショートが見事にさばいて2アウト。
さらに1塁に転送されましたが、
萩尾は魂のヘッスラで1塁セーフ。

2死1・3塁と場面が変わり、
迎えるバッターは昨日の準決勝、神奈川大戦で9回サヨナラ2ランを叩き込んだスラッガー下山。

本当になんというか、
心臓が飛び出しそうな場面となりました。

中央学院大のマウンドにいる山崎は、
何度も何度も慶大に追い詰められながら、
最後のところでは踏ん張って、
ここまで虎の子のリードを守り続けていました。

その2球目。

下山がたたいた打球は、
神大戦のサヨナラアーチよりは、
少しだけ低い弾道。

そしてそのライナーは、
深く守っていたライトの正面に飛び、
慶大ファンの悲鳴を乗せながら、
ゆっくりとライトのグラブに吸い込まれました。


その瞬間、
慶大の4冠の夢はついえ、
中央学院大が初優勝を飾りました。

多分千葉大学野球リーグも、
初めての神宮大会制覇ではないかと思います。

本当に苦しい試合を勝ち切っての、
見事な優勝でした。


思えばこの秋のリーグ。

ワタシは毎週全国の大学リーグ戦をウォッチしていますが、
千葉リーグでは中央学院大は1勝3敗という最悪のスタート。

勝ち点制でもない今年の秋季リーグにおいて、
3敗スタートはとてつもないハンディですが、
そこから見事に勝って勝って勝ちまくり、
リーグ戦を制覇するとその勢いに乗って関東5連盟の横浜市長杯も制覇。

準決勝では東海大を、決勝では神奈川大を強打で下しての、
見事な優勝でした。

そしてやってきたこの明治神宮大会。
初戦、準決勝と1・2回に速攻で大量点を上げて逃げ切るという試合展開で快勝。

この決勝では、
その速攻を相手にやられて4点のビハインドを背負いましたが、
今度は中盤に打線が爆発しての大逆転勝利でした。

見事な勝ちっぷりでしたね。

また明治神宮大会の歴史に、
新しい強豪の名前が書き記されることになりました。

敗れた慶大にとっては、
この決勝は痛恨の敗戦だったことでしょう。

これ以上ない試合の入りをして、
マウンドにはエース増居。
「負ける要素、ないっしょ」
という試合展開でしたが、
そこがほんの少しの心のスキを生んだか、
中央学院大の中盤の怒涛の攻撃が開始されると、
それを留める術がありませんでした。

しかし春夏ともに六大学リーグを制し、
春の全日本大学選手権でも優勝。

さらにこの秋の明治神宮大会準優勝と、
六大学の長い歴史でも誰もが成しえたことがない「4冠」に向けて突き進む姿は、
まさに「陸の王者」たる勇猛果敢な姿でした。

今年の慶応、
なんだか「野生を取り戻した」感のする、
いいチームでしたね。

*それにしても、あの江川、金光らの「黄金時代の法大」でも4冠は成し遂げられなかったんですから、本当に難しいことですね。


ということで、
本当に素晴らしい決勝戦でした。

野球の素晴らしさを、
とことん堪能するような試合でした。

ありがとう、
両チームの選手たち。

来年もまた、
この神宮で会いましょう!!!

永遠なれ、明治神宮大会!!



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