「生成AI」とか「ChatGPT」というワードが、最近注目されています。
それで私も「ChatGPT」のアカウントを作って、試しに使って見ました。
といっても、いくつかの質問をして、それに対する回答(「彼」が作ってくれた作文)を読んだだけですが。
その感想の第1は…
知識のアップデートがされていなくて、データが2021年秋までのもので、なんとも古いということ。
なので、時事問題についてはからっきし弱いですね。一昨年の秋までの知識しか引っ張って来られない。
たとえば、日本の入管法改正案について訊いてみると、こんな感じです。
スマホだと、虫眼鏡がないと見えないかもしれませんが。
あくまでも、一般論についてしか答えてくれない。
これは問題でしょう。
こんなんで、仕事につかえるのかな?
感想第2。知識がまだまだ足りない。その上間違いだらけ。なにより知らないことも知ったかぶりして答える。
まあ知識については、得意な分野と弱い分野があるのでしょうけれど…。
いずれにしても、分からないなら「分かりません」と言ってくれないと困りますよね。
でないとデタラメな情報を信じてしまう人が続出して、結果、デマとして出回っちゃうでしょ。
たとえば、声優の小倉唯さんについて教えて。と訊くと…。
回答の1行目、出生地からして、もういきなり間違っているし。
3行目から8行目までは全部デタラメで、デビュー年も出演作も、一つとして正しいものがないというひどさ。
具体的なデータにここまで正解が無いのでは、ちょっと話にならないですね。
まあ、英語のテキストを日本語に自動変換しているだけみたいなので、日本のサブカルについては特に弱いのかも。
というわけで、今日、iPhone版のアプリが出て、アンドロイド版も近々リリースと言うニュースがありましたが…
まだまだ今の段階で、学習や研究、ビジネスに使えるレベルではないと感じました。
ただ、文章として正しいものを、自分で生成することは日本語においてもとても上手なので…
というか一般的に日本語が乱れて来て、おかしな文章を作る人が多くなっている現在では…
こいつに下原稿を書いてもらった方が、おかしな日本語文を作らなくて済む人が多いかもしれないです。
たとえば一般論だけの質問ならば、そこそこまともな文章を作ってくれます。こんな風。
時事問題以外はまずこいつに文章を作らせ、後からデータ部分を自分で付け足して仕上げるという使い方があるかも。
たとえば、アルファロメオ156 2.5 V6という車についての魅力を訊いてみると…
パワーや詳しいディテール、あるいはデザイナーの名前など、欲しい情報をちょこちょこと調べて付け加えれば…
説明としては十分なものになってしまうでしょう。なかなか。
一方、お絵かきや写真の合成などに関しては、こういった生成AI…
言語が関係して来ないこともあって、相当にレベルが高いみたいです。
ビッグデータから学んだ「みんながかわいいと思う」キャラクターの描画や、人物の写真をAIが作ったものは…
本当に多くの人からウケるものになるんじゃないですかね。
ただあくまでも量産型の「かわいい」なので、たとえばAIが生成した二次元キャラは…
クリエイター個人の尖った個性を入れられないし…
生成写真も多くの人が気に入るでしょうけれど、これは!とものすごく惹きつけられるものではないかも。
でも、AIは人間にインプットをされなくても自分で自分を賢くさせ、アップデートする「学習能力」があるので…
しかも学習能力はどんな天才的な人間と比較しても別次元で高く、一度学んだことを忘れてしまうこともなく…
その材料はネットの世界に膨大に存在しているので、これから、あっという間に能力を高めるでしょう。
レイアウトとか割り付け、グラフィックデザインなどという分野では、かなりの力を発揮しそう。
機械の設計とか、建物の設計、都市計画などのデザインなんかも得意ではないかと。
いずれは小説なんかも、そこそこには面白いものを書くようになるかもしれません。
文字の校正などは、人間より全然早く正確にやるでしょうから、人手が要らなくなるのはもう目の前です。
既存の小説を漫画化したり、マンガをノベライズしたりなんていう作業も、ものすごく得意になるかも。
クリエイターは、ますます個性が問われるようになり、凡庸な作品しか生み出せない者は、AIに仕事を取られる。
もうテレビでも、ニュース原稿をAI音声に読ませるという試みが始まっています。
今はまだ、微妙な声の揺らぎでそれと分かりますが、1年以内にわからなくなるのではないかと。
数年後には、画面に出て来るアナウンサーも、また新人アナが入局したんだなと思っていたら…
AIが生成した、映像上だけのバーチャルアナウンサーだったなんてことが、起きるかも。
一回も読み間違ったり、噛んだりしないので、おかしいなと思ったら…なんていう。
ただ、AIの思考(といえるのかな?)は…
スピードこそ異次元とはいえ、恐らく「線形的」な展開しかできないと思われるので…
人間の脳に特徴的な、思いもよらぬところから引っ張り出されてくる「ひらめき」や…
既存の常識から一気にジャンプアップした「突飛な発想」を出せる点では、人間の脳にかなわないでしょう。
でも…ほんの少し前までは、チェス、将棋、囲碁などの戦術的なゲームでも人間の名人が…
「コンピュータ」と互角か、それ以上の戦いをできていたのですけれど…
もはや今では、どのゲームでも人間は全く太刀打ちできない状況になって、話題にすらならなくなりました。
まじめな話、あと5年もしたら、ほとんどの人間の頭脳労働において、AIの方が優秀になっちゃって…
一般的な事務仕事や経理の処理とかは、もう全部AIにやらせる方が効率的になるのかもしれません。
AIは「給料よこせ」とも「賃上げしろ」とも言わないし…
本当に、24時間休みなく働きますから、経営者、資本家、投資家の側には好都合ですし。
一方、肉体労働においては、ロボットが肩代わりするものがどんどん増えて行きます。
ロボットの方がミスをしないし、パワーも正確さもあるし、なにより疲れを知らないですから。
AIとロボットを連携させれば、より効率的なやり方、うまく行く作業方法を自分自身で工夫し始めるでしょう。
そうなると、生身の人間にはどんな仕事が残されるのか。
一般的平均的なものでない、尖った思考や、大胆で飛躍的な発想をもって、イノベーションを起こす能力とか…
マニュアルや型にはまったものとは違う、感じの良い笑顔とか言葉遣いで…
人を惹きつける営業や、お客さんが心から癒される接客をする能力とか。
ただ接客については、人にやってもらえるお店は、それなりに値段が高いお店とか、個人店に限られるでしょう。
大きな会社のチェーン店などで、リーズナブルな店は、アルバイト店員が機械の店員に職を奪われるのでは。
もう既に、安いファミレスなんかでは、お運びロボットが料理を持って来てくれたりしますからね。
(あれにAIはまだ噛んでないので「経験を積んで接客が上手くなる」ことはないですけど)
人間の方が優れている仕事の能力というのは、近いうちに…
「数値化できず、客観的な優劣の判断ができない」能力だけになるかもしれません。
そんな社会を生きる人間を育てるには、教育も大きく変えないといけないのは、言うまでもないことです。
特に日本の教育は、規格に合った、均質で「枠からはみ出ない」、秩序を守って動く人材を作る方向に偏っていて…
「起立!礼!着席!」とか「前へならえ!」なんていうの、北朝鮮とかは知りませんが、普通の国じゃやらない。
そんなところからもう、規格通りに一斉に動く人間を、大量に生産していることの象徴ですよ。
「個性を育てる」なんていうのは、単なるタテマエの標語を出ていない状態が、もう60年以上続いています。
AIとロボットが興隆する社会がやって来ると、かつてアメリカ人から「ミスターロボット」なんて揶揄された…
日本人は、相当に苦しい立場に追い込まれると思います。
「はみ出さない普通の良い子」を育てることから「型破りなぐらい個性的な子」を育てる、に変えて行かないと。
今までの私たちの社会では、そういう「変わった子」は、すぐにはじかれて、潰される傾向にありましたから…
でも社会全体を変えるなんて、一朝一夕にうまく行くものではないので…
もんのすごーく、難しいことだとは思いますけれど。
まずは、全体主義的な発想を捨てて、まじめに「個」を大切にし、育てる社会にしないと。
そして、ダイバーシティだとか多様性だとかいうものを、真剣に、価値観の上位に据えるようにしないとです。
見た目が違う人が周りにいっぱいいるのは落ち着かないから、ガイジンは好きでないとか…
LGBTQ+の人が、家族にいるどころか、隣近所に住んでいることさえ抵抗があるとか…
あげくの果てには、夫婦が違う姓なだけで、違和感を感じるとか。
そこまで「みんな一緒」「同質」にこだわっているようでは、AIやロボットに勝てる「脳」を持った人間は育たない。
多様性の尊重は、マイノリティーのひとがかわいそう、とかそんなことだけじゃなくて…
私たちの精神の深い部分から変えることで、この複雑な時代の生き残りを賭けたサバイバル戦術でもあるんです。
このままではこの先日本が、日本人が、生き残って行くことさえ難しいということを、真剣に受け取らないと。
個人、個性、多様性…などが全部嫌いな「保守」の人のわがままを止められないようでは、この国に未来はないです。
しかも、大きな変革の波がやって来るとすれば…
そんなに先の、悠長な話じゃないですよ。3年とか、5年とかの単位での話。
時代の大転換はこういうところにも来ているんです
昭和・平成から続く夢の中でまどろんでいられるタイムリミットは、あとほんの数年でしょう。
とりあえずChatGPT、私はまだ、今のところPCでしか使えていません。
アカウントを作るサイトが英語にしか対応していないので、まだ一般には使いにくいでしょうけれど…
スマホ版のアプリは、すべて日本語対応になるのかな?
私のスマホはアンドロイドなので、アンドロイド版のアプリが出たらインストールしようとは思ってます。
冒頭にご紹介した通り、今はまだ「彼」が無知だったり、知ったかぶりだったりするので…
使い方が限られていますけれど…
こういうのは、アプリを入れておけば、あとはバージョンアップするごとに、劇的に進化するでしょうから…
すぐに性能が爆上がりし始めて、いろいろ使えるようになりそうです。ちょっと楽しみ。
ただChatGPTに限らず、AIは、漢字かな交じり文で文字数が膨大な上に…
しかも言語構造が複雑な日本語を基にして「育つ」よりも…
アルファベット言語で「育つ」方が、スピードが何倍も速くなります。これはもう、どうしようもないこと。
なので、AIの開発競争というものが起きた場合に、日本語でのAIはものすごく不利になりそうです。
いちいち英語(などのアルファベット言語)で彼らが学び、考えたものを、日本語訳させて使うしかない。
インターネットに次ぐ、第二のIT革命と言われるこの分野で、日本が他国の後塵を拝すことは避けられないかも。
しかも、思考というのは、言語の制約や影響を強く受けるものなので…
外国語で事物を生成するAIは「日本のことに凄く詳しくて、日本語が完璧に出来る外国人」みたいなもの。
日本人、日本語話者の思考や常識、価値観、趣味嗜好とは、ちょっとズレているなと感じることが多くなるかも。
やはり何をどうやっても、ITが発達すると、日本語話者には不利で不便な世の中になって行くのでしょうか。
それとも、IT化とか何とか、そういうものからもう日本人は下りてしまって…
外国と「競争する」とか「争う」とかいうこと自体もすべて放棄して…
のんびりと平和にマイペースに、この列島の中で、そこそこの暮らしをして行く、という手もあります。
もちろん、産業構造を大転換して、農林水産業を中心に据えないと駄目です。
エネルギーについても、自然エネルギーだけですべて賄える程度に、経済規模と文明を縮小させて。
何十年かの時間をかければ、徐々にそちらへ向かうことだって、絶対に不可能というわけではないですよ。
それには、経産省とお仲間のあの政党のあの派閥とか、財務省とお仲間のあの派閥とか…
そういう方々には全部、お引き取り願わねばならないので、これまたえらく大変なことなのですが。
しかし、世界がなんだかきな臭くなって来た、こんな時代ですから…
「敗けず嫌い」精神さえ捨てられれば、いっそのこと、そのほうが安全無事、なのかもしれません。
まあ、もし国民の多くが同意して、出来る事ならば……の夢物語ですけれどね。