学校でのいじめは世界中に存在するようです。少なくとも比較的豊かな国には。
ただ、主に西欧や北米大陸の例として聞くいじめは、ほぼ全部が直接的な暴力によるいじめで…
しかも、いじめる加害者は一人か二人、多くてもせいぜい4~5人程度のグループであるようです。
日本の学校でしばしば行われるいじめのように、クラスのほぼ全員が協力しての「しかと」のようなものは…
実は、極めて特殊みたいですね。
大抵の外国では、集団全体を巻き込んで同じことをさせる「同調圧力」が、日本ほど強くないからでしょう。
声優の小倉唯さんも、いじめの被害者になったことがあるそうです。
少女時代は、そういうことはカミングアウトしていませんでした。
かつて組んでいた声優ユニット『ゆいかおり』のラジオ番組で、相方の石原夏織さんに向かって…
「私って、女の子の集団から目をつけられちゃう、みたいなのにずっとビクビクしながら生きてきた人だからさ」
などというコメントを、ポロリと漏らす程度でした。
そういう話が少しずつ語られるようになってきたのは、大学を出るか出ないかのころから、だったでしょうか。
具体的な内容は、今でも詳しくは語っていませんけれど…
いじめが原因で学校に行けなくなったこと。
「壮絶な心的外傷(トラウマ)を負っている」と言っていたことがあること。
心理カウンセラー(スクールカウンセラー?)の方に救われた経験があること。
結果的に芸能科クラスがある学校に転校することになったこと。
などから、相当にひどいいじめであったことが伺えます。
先日、アニメ『私の百合はお仕事です‼』のラジオで、一緒にパーソナリティーをしている上坂すみれさんに…
「ほんと今考えるとあれを題材にマンガが書けるようないじめだった」
と、笑いながらですが言ってました。
私が息子の影響で唯さんに注目し始めたころは、そんなことは知りませんでしたが…
なんとなく、いじめられた経験がある子、の雰囲気を感じていたような気がします。
それは、同じくひどいいじめに遭ったことがある、私の「勘」だったかもしれません。
子どもの世界でいじめということを基準に人を分類すると…
1.いじめる子(いじめがちな子)
2.いじめられる子(いじめられがちな子)
3.傍観している子
4.積極的にいじめを止めに入ったり、いじめられている子を慰める子
の4種類に分けられる気がします。
3に関しては、本当に無関心で傍観する子、心を痛めながら何もできない子、などいろいろな心境があるでしょう。
4に入る子は、まあめったにいない。
なぜなら日本のいじめでは、いじめられている子をかばうことで、次の標的になってしまうケースが多々あるからです。
2の、いじめられた経験がある子には、ときどき「仲間」を見分ける勘が生じることがあって…
その勘で、私は唯さんのことを「仲間」「同類」と感じたから、余計に興味を引かれたのかもしれません。
唯さんがいじめの標的になったのは、当時から性格的に優しいところがあったのだろうと思いますが…
(いじめられっ子は、まじめで優しい子であることが多いです)
やはり、目を引く美少女であったことと、芸能活動をしていたことから、嫉妬されてしまったのでしょう。
それと、声の質が特殊だったのを、からかわれたのもあるようです。
結果的には、その個性的な声質が、今はお仕事での武器になっているんですけれど。
こちらのTikTokでも、そのことに触れています。
見られる方は、見てみて下さい。
いじめの影響は、今の彼女にも確実に残っているだろうと思います。
「笑顔を作っても目が笑っていないように見える」などと、アンチのオタクどもから揶揄されたりするのは…
唯さんの目の奥に、どこか暗い影が宿っているのを、意地悪な視線から表現したものだと思います。
その翳りが、私には「ああ、仲間なんだな」と思えたのかもしれませんね。
ある学校で「いじめはいけない」という話の中で、教師の人がクラスの全員に綺麗な紙を1枚ずつ渡して…
「それをクシャクシャに丸めてください」と言って、みんながそうすると、次に…
「それを、もとのように綺麗に伸ばしてください」と言ったそうです。
もちろん、いちど丸めた紙はしわしわになって、どんなに伸ばしても元には戻りません。先生は…
「そのしわになって元に戻らない紙は、いじめを受けた人の心です」と。
いじめが止んで、その傷ついた心を元に戻そうとしても、決して完全に元には戻らない。
いじめによって、いちどクシャクシャになった心には、いつまでもその痕跡が刻まれてしまうのだと。
それほどいじめの加害というのは、罪深いものなのだということを教えたかったようです。
わかります。だから「いじめサバイバー」は、敏感に「しわになってしまった心」の仲間を見分けるのかも。
唯さんの場合は、転校でいじめから解放されました。またその際のカウンセラーの先生に抱いた憧れから…
芸能活動が忙しくても、大学に進学して心理学を学ぶことを志して、しかも大学の途中までは…
卒業したら芸能活動をやめて、心理カウンセラーとして働くつもりでいた、ということに繋がったようです。
いまでは、その傷も表面的には癒えて、声優・アーティストとして輝いている唯さんですが。
演技で悩んでいる後輩を目ざとく見つけ、的確な助言をして元気づけ、救ってあげたりする気配りや…
(具体的にはアニメ映画『パンドラとアクビ』のときの天城サリーさん)
イベントで失敗して落ち込んでいる後輩を、何も言わずハグして、癒してあげたりする優しさには…
(具体的には高倉有加さん)
人の心の痛みを骨の髄まで知っている、いじめサバイバーとしての経験が影響しているのかもしれませんね。
とはいえ、いじめサバイバーが全部、そんな人格者になるわけではもちろんなくて…
それは、唯さんがもともと持っていた、個人的資質によるところが大きいのでしょうけれど。
その証拠に、私などは、そんな人格者にはなれず。
むしろ集団(社会)の中の「マジョリティー」や、同調圧力に簡単に流される人への嫌悪、どうかすると憎悪を抱く…
そんな悪いところ、心理的な欠点に繋がってしまっている気がします。
このブログタイトルが「アルファロメオと小倉唯」などという、おかしなものになっているのも…
そういう心理的なクセからきているもので…
世の中の多くの人はまず知らないけれど、一部のマニアックな人(車マニアとアニメファン)…
つまり特定の趣味を持つ少数派の間でだけ「知る人ぞ知る」な存在であるものに、入れ込む傾向があるからなのです。
というようなことを書いたので、ついでに次回の記事では、私自身のいじめ体験を書いてみることにします。