あっ晴れミーちゃん☆ソーセージご馳走様!
3代目・・・だっただろうか?
我が家では、代々、飼う猫の名前はミーちゃんと名付けている。
決まりでも拘りでも無く、猫=ミーちゃん・・・それが当然の事で
血筋が違おうがメスだろうがオスだろうが、そう成っている。
三代目ミーちゃんはメスで、ハンター名人(名猫)で、面白いハプニング
な出来事が多かった。
猫も時代によってする事成す事が大きく変わって来る。
今の時代の完全室内飼いの猫とは違い、生魂たくましい。
4・50年前の猫は、獲物を捕獲すると、自慢げに飼い主に見せに来る。
「どうだ!すごいだろう・・・褒めてくれ・・・!」とばかりに、獲物を咥えて持って帰る。
持って帰るのは常では無く、猫なりに「今日の獲物は素晴らしい!」
と、自分なりに納得した時だけ持って帰る。その当たりは、人と余り変わりが無い。
100点満点のテストを学校から帰り、一目散に母親に見せる子供の様に・・・。
或いは、釣りをし大きな鯛でも釣った時、自慢たらたらと言いながら家族に
見せるお父さんの様に・・。
褒めてもらいたいのは、猫も同様で有る。
持って帰るのは、色々だったけれど、一番、驚きたまげたのは、蛇!だった。
よっぽどの自慢で急いで見せたかったのか、だら~んとした
長い長い蛇の頭と尾っぽが、力無く微妙に動いてる。
「ぎゃー!」いきなりのミーちゃんの登場に、私は驚いた。
私は、世の中で一番嫌いなのは蛇である。
「今日の獲物は、格別デカイ・・どうだ!凄いうだろう・・」
そんな感じで、蛇を咥えたままに、ニャーニャーと言っている。
人もそうだろうが猫も一番好きな人に見せて褒めてもらいたいらしい。
みーちゃんにとって一番好きでお気に入りは、どうやら私らしい。
何時もは褒めてやっていたけれど、この時ばかりは私は、ぎゃー!!!
と叫び、逃げ惑った。
それ以来、ミーちゃんは、蛇を持って帰る事は無かった。
それから、30数年後。
この時代のミーちゃんの獲物は変わっていた。
時代と共に捕獲する獲物も変わって来る訳だ。
有る日の事、例の事く、ミーちゃんが獲物を咥えて帰って来た。
蛇・・・?では無い。ソーセージだ。それも4本一束に成ったやつだ。
4本一束のソーセージを咥え「どうだ!すごいだろう・・・・」
そんな感じで自慢げに咥えたまま、ニャーニャーと言っている。
ミーちゃんは、捕獲名人の立派な猫だ。言い換えれば、立派な泥棒猫だ。
この時代の日本は高度成長期で、まだ、バブルは弾けていない。
そんな訳で、猫達の食べ物も味覚も大きく変わって来た。
蛇よりもねずみよりも、そりゃー肉や魚の身やソーセージは旨い。
獲物も変わって来る・・故に、立派な泥棒猫に成ってしまった訳だ。
私は、ソーセージの束をミーちゃんの口から取り上げた。
困ったものだ・・・。多分、近所から捕ってきたのだろうが、今更、返しに
行く訳にも行かない。行けば、余罪がいっぱい有るだろうから、文句を
たらたら言われかねない。どうしたものか・・・。
仕方が無い。今回は、ミーちゃんサイドの気持ちに徹する事にした。
「ミーちゃん、偉かったね。凄いね。」そう言って頭をなでてやり、
ソーセージ一本の口を切り与えてやった。
ミーちゃんは満足気に食べていた。
残り3本は、その日、我が家の夕食のサラダに使って頂いた。
そう。私は、泥棒猫の上前をはねた訳だ。
だって、ミーちゃんが、「お母さん、凄いでしょ。一緒に食べようよ。」
そう言っていたから・・・。言っていたと思う・・・。多分・・。
神様、お許し有れ!