年を取ると、耳が遠くなる人が多い。
よく聞こえないものだから、話し手は大きな声を出すことになるのだが、内耳の構造と聞こえの仕組みを知ると、特に大きな声でなくとも話し手のちょっとした気遣いで聞きやすくなるということを理解してもらえると思う。
内耳には蝸牛と言う物があり、この内部に、基底版と呼ばれる一枚の板の様な物がある。
それは、有毛細胞という物が集まったもので、廊下に絨毯が敷かれていると想像するとわかりやすいと思う。
この、有毛細胞一つづつが、それぞれ決まった周波数(高さ)の音に対応していて、それぞれの音に反応して揺れ、それが神経を通じて脳に行き、音として感じる。
で、これは、入り口に近いところが高音で、奥に行く程低音を担当している。
で、先ほど想像した絨毯を思い出してもらうとわかると思うのだが、入り口に近いところほどたくさんの人に踏まれ、置くほど踏む人が少ないので、入り口に近い所から、擦り切れていくわけなのだ。
この絨毯、擦り切れた毛を直せるといいのだが、この有毛細胞は再生しないところが困る。
だから、老人性難聴は、高い音程聞き取りにくく、低い音程聞き取りやすいということになる。
昔、お嫁さんが嘆いた話になるのだが、ウチの姑は耳が遠いなんて信じられない。だって、いろいろ言っても聞こえないふりしてるのに、悪口言うと地獄耳なんだもん・・・という言葉、この老人性難聴の特養を知れば、理解できると思う。
聞いてほしい事は一所懸命話すので、高音になりやすく、悪口はひそひそ話すので、低音で話しやすい。
だから、耳の遠くなった人に話す時は、聞いてほしい事は低音で、聞かれたくない話は高音で話すのがいいという事なのである。
まあ、お試しあれ。