パスバンド理論というモノがあることを分子生物学者の福岡伸一氏の日経のコラムを読んで知った。氏のベストセラー『生物と無生物のあいだ』という本は内容的になかなかスリリングであった。
話しを戻して、パスバンド理論であるが、フランスの耳鼻咽喉科医師で音声医学を専門とし、聴覚・心理・音声学国際協会会長でもあるアルフレッド・トマティス氏は様々な民族が話す言葉を分析した結果、「言語として優先的によりよく使われる音の周波数帯が有る」ことが解り、この周波数帯を言語の「パスバンド」と名付けた。
そして、人間は、言語として聞かされたパスバンドの音しか言語として解しない。同時に言語として聞けるパスバンドの音しか言語として話せない。ところが、言語によって優先的に使われる周波数には大きな違いがあると言う。人間の耳が聞き取れる周波数はおよそ20Hz~20000Hzと言われており、新生児はこの範囲の音を言語として認識できる潜在能力がある。しかし、2歳になる頃になるとパスバンドは固定され、その時点で不要とされる帯域の聞き取りに関連した神経細胞は死滅していき、生後10歳~11歳ぐらいまでに基本的な聴覚が出来上がってしまい、それ以降、パスバンド外の音は聞こえても、言語音としてはなかなか認識されないらしい。続き