詩のノォト fossil in blue

生涯にわたる詩のブログ、生と死に揺らぐ詩、精神の暗く重い音のない叫びの詩

水の中の羽根(Fig.00110 )

2006年04月23日 | こころ寄り

重なるのは影だけ
すれ違う気配だけ

その美しい羽根に
到底及びやしないの

沈むわ
この冷たく青い石の湖に

黒い
棘だらけのわたしの羽根は
疲れて
飛べない

光る
真っ白な
その美しい羽根の中に入って
落ちてゆきたいけど

それさえ
できやしないの。

   L氏の作品に


小さな光り

2006年04月20日 | うたかた 2006

飴玉1個口に入れるように
小さな光りほお張ろう

それは桜の花びらから分けてもらってもいいし
野の山の道端の葉っぱでもいいし
空の青でも空の白でも
わたる清々しい風からでも
日の光りからでも
月の静けさからでも
どこからでももらえる小さな光りだよ

いっぱいもらっちゃおう
応援してもらおう
天然の光りに

そのたびにほお張って
胸の中に入れて
胸の中の大切な場所をほんわか照らしてあげよう
やらかく包んであげよう

無くならないさ
胸の光り
夢の欠片
地球が味方だもの。

   


反比例の定則

2006年04月18日 | うたかた 2006

何かを始めると一歩前へ出ると一つプラスすると加えると
いつもの反比例の定則はスコンと
不遜な濃霧のたちこめた大きな黒い穴を隠すように用意して
わたしを待っている

気が付くとわたしは
闇と明るみに同力に引っ張られている

気が付くとわたしは
不遜な濃霧のたちこめる大きく黒い穴の底にいつの間にか
居る

ふと辺りを見て初めて気が付くのだ
自分が居る場所に

同力のアンビバレントが
わたしの微々たる意欲を同力に引っ張る
同力に反発する
同力で引き合う

わたしはいつも
両価の羊にさせられる

気が付くとわたしは
路面に定着した石の羊に
なっている。


桜流星の光り

2006年04月10日 | うたかた 2006

桜の壁が覆い被さるどこまでも続く地上の廊はまるでピンクの光速
駆け抜けるわたしも矢になった桜の光りも
一直線のピンクの流星

桜は長い長い真っすぐなピンク色の光りの尾を残し
桜もわたしも共にピンクの流星

息も出来ない桜の光速の中風はあったのだろう
あったのだろう

桜の花びらが光速の風に流れて溶けてゆく
美しいという永遠とわたしの心を溶かしながら。

桜を
見ていた。


泣きそうです

2006年04月09日 | うたかた 2006

先生薬が切れると泣きそうです
泣きそうです
涙腺が
独りでに決壊します
不安発作来てパニック来て震えて泣きそうです

買い物に行きました
頭痛です今すぐ寝たい
過食に走りまくり余計なものをいっぱい食べてます
当然太りました

泣きそうです
泣きそうです
一日中泣きそうです
全てが泣きそうです
泣きそうなまま耐えて押し込めて閉じ込めて殺して

途方に暮れています。

3.31 pm4:42


一点の共有

2006年04月06日 | うたかた 2006

無くした心はね
心によってしか埋められないんだよ
刹那時の間の瀬は
刹那時の間の風とともに流れ漂い希薄になっても
風とともに流れ漂い空無に返ってゆく桜の花びらが
いつまでも心のどこかに残像となって留まるように
一瞬の他愛ない灯りでも
幾重にも幾重にも何度でも何度でも
消えても消えても再び灯すことを諦めないで
そうしているうちにいつかわたしが死んでしまっても
ポッと灯った小さな灯りは
風に流れゆく桜の淡いピンクの花びらとともに
わたしの心を温めてくれる
刹那時の間のよすがとして
温かな瀬の想起をして。