激しい雨の中
何年ぶりか十年ぶりか十何年ぶりか歩く
傘は
半分傘の役目に満ちず
手や腕や服や足や靴の中まで雨水に濡れて
滲みて
雨霞で
街の
看板やらもよく見えずに
どこかに入ってちょっと休もうかなんて
思いながら行き過ぎ
痛む足は
一歩
更に一歩
僅かに行き交う人らの誰よりも遅く
雨音は
この胸を打ち
他を消し
幼い頃よりの積年の孤独は深く目の前を水色の同心円に開かれる
嗚呼
わたしは
雨
只中
その激しさ
この身で感じることの出来ているリアルその実感に
嬉しい
雨の
水の
冷たさに
楽しく
わたしは
人並みの
事をしていますよ
雨の
激しい
冷たい
全部を感じて
わたしは
ここを
歩いて
います。
2013.10.20 pm 9:11