2020/4 投稿句
4/1
横長のテレビ・ソシャルディスタンス
5Gじゃ凹んでしまうこの体
逝てもうた昭和がどんどん遠くなる
4/2
怪しげなニュースひと先ず棚に置き
開いたり文化の間口閉じもする
都市閉鎖春の浮雲陰陽師
4/3
けんさんの生きよ生きよの叫び声
ウイルスは五時から男の後を追う
かくれんぼしても見つかる位置情報
4/4
腹案マスク民の安心パッと消え
何やるもまずはコロナが引っ掛かり
菜箸でフェイクなニュースつまみ出し
4/5
休校中どうしているやら孫六人
妻がいて子どもちょろちょろテレワーク
コロナ禍や籠もりついでのママレード
4/6
コロナ禍が人の仕切りに割って入り
ポケモンがおそれ入谷の自宅前
もう四、五歩自粛の森へ分け入らん
4/7
国難と言われ眼を剥く焼け跡派
ウィルスも困ってる人も目に見えぬ
「躊躇なく」言うは易し行うは難し
4/8
柳ケ瀬でコロナに捕まる精神科医
故郷は遠くにありて想うもの
三蜜は壇蜜あん蜜似て非なる
4/9
ハンバーグ好きな太っちょ新担任
宣言は始めちょろちょろ中パッパ
トーキョーはヤバイ所と野に下る
4/10
赤提灯明るいうちに消える策
ご宣託忖度得意の民頼み
草むしりコロナ籠もりの事始め
4/11
押し一手しゃれたマスクの大姉御
コロナ禍を巡ってA・ I 解を得ず
新緑をせめて愛でたく顔を上げ
4/12
感染元分かっちゃいるが言えぬ理由
世の中は不要不急で成るを知り
都会もん出るな来るなの大合唱
4/13
奴さん八十億を黙らせる
お若いと誉められ老人転げ落ち
コロナ機に時代が変わる世が変わる
4/14
そう言えば同じ頃だね九年前
安請け合い引き籠もってはみたものの
幾十万「いいね」をヨイショ忠尽くし
4/15
柿の種ホストになったピーナッツ
ウイルスも子どもも寄らぬ雨の園
協力金首長の顔は百面相
4/16
休校中スマホの先生よく馴染み
このマスクする度浮かぶあのマスク
多忙なり五時から男八時まで
4/17
学校を秋から始める外の風
テレワーク堂々酒屋の黒電話
春夫の憂鬱令和の憂い
4/18
午後8時ピタリ始まるテレ飲み会
いがみ合いしてたら負けるコロナ戦
今日もまた不要不急で出そびれる
4/19
三蜜を厭わぬ緋メダカ二十匹
コロナ禍で島の数ほど分け隔て
誰もいぬそれとばかりの大くしゃみ
4/20
ジム通い4米に異議も萎え
老夫婦外へ出るなとライン多々
オルセーの裸婦にご婦人口尖り
4/21
生活権壱拾万円で買い取られ
第三次世界大戦口軽く
自粛倦み隣りで惚け待ち構え
4/22
八時まで五時から男時短受け
金一封添えて油を引き取らせ
鳥人間コロナに射られ翼もげ
4/23
ヒラヒラと舞うは諭吉かコロナ風
ホンマだね水より軽くなる油
チンジャラと要請蹴って玉弾き
4/24
喰い意地が募り初物藪を漕ぐ
縛りたい縛られたくない鍔迫り合い
川の瀬に自粛の憂さを放り込む
4/25
君がいぬ湘南の海また来年
また隠すチコちゃん叱る大津波
みーつけたおたまじゃくしの101ちゃん
4/26
一人身の金魚卵を持て余し
十七音憂き世の浮き輪泳ぎ下手
みくびったコロナの矛に盾はなく
4/27
えじゃないか店へ押しかけチンジャラジャン
位置情報知って知られて世は廻り
向かい合う夕餉のハズはガラス越し
4/28
湘南の海は辛いか塩っぱいか
渋谷へは多分自分も行った組
ああ儘よウィンナワルツにコロナ吹き
4/29
九十度深く腰折る宅急便
週一の痛勤めげぬテレワーク
巣籠もりじゃ甘いと籠城檄が飛び
4/30
藤の花咲いたばかりに憂き目遭い
マスクする顔に馴染みの異邦人
パチンコもツアーも止めて薄日射し