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天皇陛下
水問題については、安全な飲み水や衛生の問題はもとより、水道交通、さらには気候変動や水にまつわる自然災害などといった国民生活や、地球規模での課題に深く関わる問題など、様々な側面があります。
昨年の能登半島地震では、津波による被害や長時間の断水が発生した他、その後の復旧・復興への歩みを進める中で、豪雨災害が発生したことで、複合災害、二重被災と呼ばれるような大変な状況が生じました。
昨年、現地をお見舞いのために訪れた際には、津波や豪雨災害で流出した家屋や、一部が流された橋、海底の隆起によって被害を受けた漁港などを目の当たりにし、被災された方々の置かれた状況の厳しさや、自然災害の恐ろしさを改めて感じました。
また、昨年の英国訪問中に、テムズバリアを訪れる機会を得、高潮被害の防止などについて理解を深めることができたのも、ありがたいことでした。水の恩恵を享受しつつ、災害に対応することは、人類共通の歩みでもあり、各国の水を巡る問題を知ることは、それぞれの国の社会や文化を理解することにもつながります。
今後とも、事情の許す範囲で水問題についての取り組みを続けていきたいと思っています。
悠仁親王は昨年18歳となり、成年を迎えました。小さいときから、甥(おい)として成長を見守ってきましたが、近ごろは都内や地方への訪問であったり、外国の方々との交流であったり、皇室の一員としての務めを果たしてくれていることを頼もしく思います。
会ったときには、地方や都市への訪問に関する話題の他にも、関心を持って取り組んでいるトンボ、野菜の栽培、バドミントンなどについて生き生きと話してくれますので、充実した日々を送っているのではないかと思います。
先日、悠仁親王の大学の進学先が決まり、嬉しく思っています。
私自身の大学時代を振り返ってみると、専門の日本史の研究や、部活動としてのオーケストラでの練習などを通じて、年齢の幅もある、様々な人と出会うことができたと思います。
そして、様々な背景や関心を持った先生方や、友人たちから多くのことを学びました。
高校時代までの友だちも大切ですが、大学で知り合った人々との交流も続けています。
研究面でも、大学時代に研究した日本中世の瀬戸内海の水上交通の研究は、オックスフォード大学でのテムズ川の水上交通史の研究へとつながり、現在も取り組んでいるより広い分野での水問題へと発展していったように思います。
悠仁親王には、大学生活を通して、本当に自分がやりたいことを見つけるとともに、様々な人と出会い、自身の将来をしっかり見つめつつ、実り多い学生生活を送ってほしいと願っております。