秋が深まって最後のアルニカの収穫がすむ頃、サクヤとフレイヤがアズアの泉で話していると、珍しくエクルーがやってきた。
「これはこれは、娘をたぶらかしてくれるはずの頼みの若者のおでましだ。口の割に、なかなか実行に移してくれないが」
「何のこと」
サクヤはきょとんとしている。
エクルーはアズアともサクヤとも目を合わさず、泉のほとりにしゃがんだ。
「だからさ、代替案を持って来たんだ」
「代替案 . . . 本文を読む
エクルーはエクルーで、アズアに呼び出された。
となりに潜り込んできたサクヤに眠りを妨げられて、そっとベッドを抜け出していつものように外で月を見ていた。そこへ青いビジョンに呼ばれたので、108コめの泉に飛ぶと、泉のほとりでアズアが待っていた。
「わざわざすまないな。毎日みたいにサクヤと青谷に来てるくせに、なかなか話す機会がないもんでね」
「サクヤやフレイヤと話してるとこをジャマしたくなくてさ」 . . . 本文を読む
ラボに明かりはない。でも夜目は利く方だ。間違いない。ターミナルを立ち上げてシステムを呼び出す。早く今読み取ってきた座標を入力しないと。また動いて追跡できなくなる。
”迎撃対象カラ除外スル衛星モシクハ記証コード”
座標を入力。
モニターに月のかけらが映し出される。まさに、これだ。
ついさっき俺が肉眼で確かめて来たペトリの忘れがたみ。
25年もヴァルハラの容赦ない放射線にさらされてきた . . . 本文を読む
F.D.2548
P 1
アカネはずっとイライラしていた。
何もかも気に食わない。
くじいて言う事を聞かない足も、そのことについてルカが謝りに来たのも。
「悪かった。僕の不用意な発言のせいだよね。僕の調査は後1週間で終わる。それまでもう絶対に君を不安にさせるようなことを言わないと約束する。だから、足が治ったらフィールドに戻ってきて欲しい。君が魅力的というのを別にしても、君と仕事して . . . 本文を読む