17音の記録 やぶにらみ

気が向いた時の記録

 俳句・無季の句 川柳と 関連記事

百合

2016-07-05 09:50:40 | 日記
百合
白百合が遺影に向きて大きく咲く 柴田白葉女
七人の無念を思ふ百合の花       拙

そのときの恐怖と絶望を想像するだけで、胸が張り裂けそうになる。その最期を思うだけで、怒りがこみ上げてやまない。テロリストに捕らわれ、むごい死を迎えていった人々――。バングラデシュの首都ダッカで起きた飲食店襲撃は、狂気と呼ぶほかない所業である。
 焼きたてのパンが人気のカフェで食事を楽しんでいた日本人やイタリア人を、犯人たちはいきなり襲った。人質に取って交渉などするわけでもなく、刃物を使い次々に命を奪っていったという。みな裕福な家庭の出身で、高学歴だったそうだ。そんな若者をも凶行に駆り立てる思想の広がりに、いま、世界は直面している。
 犠牲になった7人の日本人は、途上国援助や国際貢献の最前線で働くプロだった。テロの土壌となる貧困や格差をなくすための営みを続けてきた人たちである。ビジネスとはいえ、こころざしを高く持たずにできる仕事ではない。そういう努力さえもあざ笑う過激思想にどう向き合ったらいいのか。どう抗(あらが)ったらいいのか。
 こみ上げる怒りは、ややもすれば異文化への憎悪に拡散したり、無力感につながったりするだろう。しかしそれこそがテロリストたちの狙いでもあるから、努めて冷静にならなければなるまい。狂気を乗り越えられるのは、理性だけだと思い定めなければなるまい。無念が募る心のなかで、犠牲者に深くこうべを垂れつつ。
                                          日本経済新聞

グルメ旅

2016-07-04 10:26:52 | 日記
グルメ旅
夏は闌けたり駅弁のからき昆布 中西夕紀
目を細め舌忙しきグルメ旅   拙

かつて列車の旅といえば、駅弁とポリ容器に入ったお茶が欠かせなかった。車窓からの風景を眺めながら箸を進める。旅のもう一つの楽しみが弁当箱に詰まっていた。
 駅のホームを歩き駅弁を売る姿を見掛けなくなってどれほどたつだろう。座席の窓が開かず、ベンチのようなロングシートの車両が多くなり、車内で物を食べる雰囲気ではなくなった。一方では百貨店などで駅弁フェアが開かれ、ファンの数も少なくない。駅弁に限らず、弁当にはご当地ソングのようなその土地ならではの味がある。
 希望郷いわて国体で、北上市会場の競技選手や監督向けに販売する弁当の試食会が同市で開かれた。市実行委員会の関係者らが、市内の3業者が持ち寄った計6品を実食した。
 国体弁当の献立作成に当たり、実行委は栄養バランスや衛生管理など大会の標準献立方針に沿ったメニュー、市内産新米の使用、県産食材の積極活用などの方針を示した。試食会に出された弁当は、こうした方針を基に作られた。
 地元産の野菜をふんだんに使ったもの、北上コロッケを使用したり南部どりを取り入れたりした弁当が並んだ。栄養バランスや味はもちろん、配色にも工夫を凝らした。試食した出席者は、北上の特色と名物を上手に生かしている点を評価した。
 市内では陸上、バドミントンなど4競技が行われ、期間中は2000食の販売を見込む。国体は10月に開催されるため、各業者は本番に向けて旬の食材を盛り込むなど献立を改良していく。たくさんのおもてなしの心で味付け調理した弁当で、食の面から全国の選手を支えてもらいたい。
                             岩手日々新聞 より

海鞘

2016-07-03 10:28:10 | 日記
海鞘
着きてすぐ海鞘もてなさる口涼し 野沢節子
被災地に嬉々とした顔海鞘を剥く   拙

宮城県内で養殖ホヤの廃棄処分に向けた作業が始まった。東京電力福島第1原発事故による放射能漏れを懸念する韓国が輸入を禁止したままで、出荷過剰を回避するための措置という。
 その形状から「海のパイナップル」とも称されるホヤ。酒のさかなとして人気があり、産地の三陸沿岸では酢の物や塩辛などで広く食べられている。独特の食味のため苦手な人も結構いる。全く味わったことがないという知人にぜひ食べてほしいと思い、不慣れながら何とかさばいて振る舞ったことがある。
 養殖ホヤは3~4年育てて出荷される。三陸一帯は東日本大震災による大津波で養殖施設が壊滅したが、再開にこぎ着けてきた。宮城県産のホヤは韓国が最大の取引相手で、これを国内向けに回すと供給過剰になる。価格暴落を防ぐため、やむを得ず1万トン台の廃棄を決めたようだ。
 最大の販売ルートが受け入れなければ産地はしぼむ。韓国や台湾などでは原発事故後、本県や福島県などの水産物の輸入を禁じている。宮城県漁協では東京電力に対し、今回のホヤ廃棄の処分費用などを賠償請求する方向という。
 震災と原発事故の二重苦にいつまでさらされるのか。三陸はワカメやカキなどの養殖も盛んだが、長引く禁輸は復興の加速を妨げる。養殖業者が情熱を込めて育ててきたホヤだけに、廃棄処分は断腸の思いであろう。
 人間に子ザルを奪われた母ザルが悲しみのあまり、内臓の腸が裂けて死んだ中国の故事から「断腸」という言葉が使われるようになった。廃棄決定に至った原因者に対しては、はらわたが煮えくり返る思いだろう。
                                   河北新報 コラム 

サングラス

2016-07-02 11:45:54 | 日記
サングラス
サングラスかけて目つむりゐたりけり   今井杢太郎
弟に凄んでみせるサングラス           拙

親父のサングラスを付けてやくざ映画の真似をしている光景。おしゃれのサングラスもあるが、
紫外線より目をまもるために使用すれば、胡乱臭い眼でみられることもあるので、場所がらにも注意。