17音の記録 やぶにらみ

気が向いた時の記録

 俳句・無季の句 川柳と 関連記事

投票日

2016-07-10 08:52:45 | 日記
投票日
CDを買わずにできる参議院   拙

インターネット上で、参院選の投票を呼び掛けるこんなフレーズを見つけた。「CDを買わなくても投票できます」。
 これにピンとくれば若者で、首をかしげるのはわれら中高年か。アイドルグループAKB48の〝選抜総選挙〟で、ファンが投票権付きのCDを買い、好きなアイドルを後押しするのに引っかけた。
 文章を考えたのは和歌山県の学生が立ち上げたグループだ。今回初めて選挙権を得た10代の投票率を上げようと、ネット上でユーモラスに呼び掛けている。
 ほかにも「ひさしぶりの小学校は選挙よりワクワク」「告白できなかったセンパイが7月10日に来るかも」と投票所行きを促す。「10代の投票率を上げれば、10代向けの政策が生まれる」はまさに正論。政治家の目を向けさせる好機だ。
 若者の間にこうした動きがあるのは心強い。滋賀県草津市にキャンパスがある立命館大のゼミ生は、学内に期日前投票所を設けるよう市選管に掛け合った。学内アンケートから、学生の3割が利用するという見込みを算出し、選管を説得した。
 若者には、政治をよく知らない自分が投票していいのか、という戸惑いもあると聞く。お祭りのつもりで、と言えば不謹慎かもしれぬが、まずはきょう行動してみたい。集計後の得票数を見て、うち1票は自分のものだと実感するだけでも意義はある。
                 山陽新聞より

黒南風

2016-07-09 09:48:33 | 日記
黒南風
黒南風の浪累々と盛り上がる    河野 眞 
黒南風や楽器の手入れ念入りに      拙

黒南風 梅雨時の暗く陰鬱な空模様の時に吹く湿った南風をいう。

傘を差してもびっしょり。昨日は体感的に今年一番の集中的な豪雨だった。九州の西海上に発生した低気圧が通過したためだ。宮崎市ではあちこちの側溝から水があふれた。
 下水管の雨水処理が追いつかないためだ。道を走る車は高速度でワイパーを動かしても視界が利かない。水がたまった道路はハンドルを取られそうだ。市街地から大淀川の堤防へ回ってみたが、猛烈な雨の中でも野外で何らかの作業に従事する人がたくさんいた。
 雨がっぱを着て水門を操作する人、超早場米が倒伏してないか見回る農家、看板を飛ばされないようにくくりつける工事関係者、慎重に走行するバスやタクシーの運転手、恨めしそうに天を仰ぎながらバイクで出前に出かける食堂店主。
 予想していたので驚かなかったが、あらためてそれぞれの職種が持ち場を守ることで社会が回る仕組みを心強く思った。手前みそながら新聞記者も飛び出した。よほどの天候でない限り、職場か自宅待機の仕事はざらにない。こんな時こそ出番の多い仕事もある。
 つらくても仕事だから当然、という思いはある。だが社会的な使命感が背中を押すのも確かだ。国民の権利である選挙も、政治を回すにはそれくらい責任感を持っていい。明日は参院選の投票日だ。特に若い有権者には投票を訴えたい。
 英国のEU離脱を問う国民投票では、残留派が多い若者の投票率が低かったために離脱派が勝った。自らの将来を決める選挙で棄権をすれば後悔する。勉強や遊びの延長のように政治にも関わりたい。社会人としての持ち場が見えてくる。

                                宮崎日々新聞より

羽抜け鶏

2016-07-08 09:47:31 | 日記
選挙
 選挙ビラ漁村にあまり羽抜鶏   中本柑風
 一票を無駄にはするな羽抜鶏     拙

 近ごろの猫ブーム、猫好きにはたまらない。テレビや店頭に姿を見つけては「にゃーん」。つい猫語で感嘆の言葉を発して、周囲をあきれさせている。
 かつて猫が人気を博したのは1980年代。校則破りの学生服を着て「なめんなよ」といきがる姿がもてはやされた。当時は空前の好況に沸いたバブル期。そうした時代背景に照らせば、今の流行をどう見よう。
 市場はまさに「猫もしゃくしも」猫頼み。あやかる経済効果は年間2兆円超との推定もあり、「ネコノミクス」の造語まで生まれた。人は、時間に追われてすべきことに縛られる暮らし、犯罪や災害の相次ぐ社会の中で、よりどころのなさや不安を抱える。猫はそれを尻目にのんびり居眠り。
 どんな状況でも力まず、こびずに自然体。その姿への憧れだろうか。人気の元が癒やしなのか現状からの脱却願望か気になる。それに当の猫たちを取り巻く環境も安楽とはいえない。猫の殺処分は全国で年間約8万匹。人気の影響で売買価格が跳ね上がり、過剰繁殖の果てに処分数が増える懸念もある。ブームの陰にある問題にも目を向けられるといい。
 米国の野生動物写真家、ロジャー・カラスは、猫を「自分の同意のない変化を嫌う」と称したとか。安倍政権の評価を問う選挙が迫る。公約は有権者にこびず、猫の目のごとくコロコロ変わらないことを願う。こちらも猫に倣って確かな同意の一票を。
                         長野日報より

七夕

2016-07-07 08:14:04 | 日記
七夕
七夕や昔むかしのわらべ歌   野村 きく
七夕や謎解き明かす宇宙船      拙

「途方もなく大きな円形帆は、帆索をぴんと張り、惑星の間を吹く風を受けて、もういっぱいにふくらんでいた」。SF作家、アーサー・C・クラークの『太陽からの風』(ハヤカワ文庫)は、宇宙ヨットによるレースを描いたものだ。
 1963年に書かれた作品は、すでに現実のものとなっている。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2010年に打ち上げた「イカロス」は、世界初の宇宙ヨットだった。太陽光が持つわずかな圧力を推進力として、半年後に金星に接近して撮影に成功している。
 米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「ジュノー」も、太陽光を利用している。3組の太陽電池パネルを含めた全体の大きさは、バスケットボールのコートほどにもなる。
 11年8月の打ち上げから5年、約30億キロを飛行して今月4日、木星に到達した。質量では地球の320倍という巨大惑星を約1年半かけて観測し、太陽系の起源の謎に迫るという。
 クラークの『2010年宇宙の旅』では、人類は木星までの有人宇宙飛行を成功させている。こちらの実現までには、まだ時間がかかりそうだ。ただ8年前90歳で亡くなったクラークは生前、火星ならば2020年代に到達が可能と予想していた。NASAでは30年代を目標にしているが、米宇宙開発企業は今年6月、24年までに実現するとぶち上げた。最初に火星に降り立つのは誰だろう。
 宇宙飛行士の大西卓哉さん(40)が今日、ロシアのソユーズ宇宙船で、国際宇宙ステーション(ISS)に向け出発する。世界的にも珍しい旅客機パイロット出身の大西さんは、約4カ月間滞在する。「月や火星にも行ってみたい」。記者会見で夢を語っていた。もちろん、候補者の一人である。    
                              産経新聞より



都知事選

2016-07-06 07:02:37 | 日記
選挙
箱眼鏡干されて選挙事務所かな 清崎敏郎
後出しも先出しもあり都知事選    拙

深刻な顔をした若い娘が傘を持って空中に舞う。はためく振り袖。もちろん舞踊ではない。傘をパラシュートに飛び降りている。江戸期の絵師、鈴木春信の「清水舞台より飛ぶ女」である。
 決心して物事をなすたとえの〈清水の舞台から飛ぶ〉。江戸前期には既に使われていたが、おっかないことに実際にあった「風習」に基づいている。
 恋愛成就や病気回復などを祈願して京都清水寺の舞台から飛び降りる。霊験によって命も助かる上、願いもかなう。そう信じ、春信の絵のようなまねをする鉄火な人間が大勢いたそうだ。高さ十三メートル。当時は樹木濃く、奇跡的に一命を取りとめる人もいたと聞く。
 「私は崖から飛び降りている」。「崖から」とはやや妙な表現だが、自民党の小池百合子さんの東京都知事選への弁である。決意は固く、自民党都連の推薦なしでも「立つ」とは思い切ったものである。下手をすれば、自民党の対応は分裂する。
 政界渡り鳥の小池さんへの党内の悪感情もあろうが、この勝負、分があるのは後手後手、オロオロする都連よりも「飛ぶ女」の方か。
 どうも小池さん、都連が女性から決意の傘を無理やり取り上げようとしている構図を世間に示したいようで、都連も強気に出られるか。党としては世間の目が気になる参院選の期間中でもある。タイムリミットが迫る。「飛ぶ女」の満願成就はなるか。
東京新聞より