17音の記録 やぶにらみ

気が向いた時の記録

 俳句・無季の句 川柳と 関連記事

暮れかぬる

2023-04-15 08:43:39 | 日記
静寂や暮れかねてゐる点滴器

季語 暮れかぬる 遅日の傍題 内容としては「日永」と同じであるが、もっぼら日暮れ時間の遅くなったことに興味を感じた言い方である。ただし この日没時間も実際は夏至の頃が一番遅いのであるが、気分の上では春に実感する。立春前に「日脚伸ぶ」という季語があることと併せ考えると、日本人の感じ方の傾向がわかって面白い。歳時記抜粋。

掲句 病室での夕方 点滴を行っているいる時 点滴器の内部を見つめて。

例句 大川の大きく曲がる遅日かな  小林翆岱

田螺の子

2023-04-14 09:19:47 | 日記
水槽のポンプが止まる田螺の子

季語 田螺 栄螺を小さくしたような形の淡水産巻貝の総称。日本各地の池や田の泥に住む。泥の中で冬眠し、春にると水底の泥の表面をはい回る。這った跡を田螺の道という。貝類でありながら胎生で初夏に米粒ほどの子貝を産む。歳時記抜粋。

掲句 家庭用小魚飼育観賞用の水槽中の浄水用ポンプに田螺の子が多数入り込み、詰まって機能しなくなった。水槽の水は熱帯魚もいるので暖かいため今頃でも田螺は子を産む。

例句 月の出のおそきをなげく田螺かな  久保田万太郎

雪解

2023-04-13 13:00:01 | 日記
欄干の無き橋渡る雪解川

季語 雪解 雪解の傍題 春になつて積雪が解けることをいう。また、その時期を指すこともある。一般に雪消は「ゆきげ」。雪解は「ゆきどけ」だが、雪解を三音で読むこともできる。残雪から立ち上る「雪解靄」、春一番から始まる「雪解風」など、様々な関連表現がある。この時期、日本海側では。雪解川の濁流はごうごうと響き流れ洪水を起こすことがある。歳時記抜粋。

掲句 田舎の交通量の少ない上流の橋を渡ったときのこと。

例句 にぎはしき雪解雫の伽藍かな  阿波野青畝  

2023-04-12 08:39:59 | 日記
鶯やパントマイムの妻の顔

季語 鶯 スズメ科ヒタチ属ウグイス亜科標鳥。早春には山から里に現れて美しい声で鳴くため、古来 春の先駆けとして親しまれ、春告げ鳥ともよばれる。花札にもあるように梅と取り合わせられるのは丁度 梅の開花時期に人目にふれるのと梅の木に虫を探して集まるため。羽の色はいわゆるウグイス色で地味。初音は二月下旬頃。三月になると囀りが整い、四月には山に帰る。歳時記抜粋。

例句 鶯や前山いよよ雨の中  水原秋桜子

竹の秋

2023-04-11 09:27:24 | 日記
裏庭の明るい景色竹の秋

季語 竹は三月から四月地中の筍を育てるために、一時 葉が枯れたように黄ばんでくる時期がある。この状態が秋に落葉樹が黄ばんでくるのと似ているので、竹の秋という言葉が生まれた。陰暦三月の異名ともなっている。古来、竹は日本人の親しんできた植物の一つである。春になって万象芽吹き清い状況のなかで、竹だけが黄ばんで精彩を欠いている。そうしたところを見逃さなかった日本人の季節への敏感な眼の感じられる季語である。歳時記抜粋。

例句 古里の山は語らず竹の秋  五島高資