虹のむこうがわ  ~安曇野ペンションあるかすblog~

「あるかす」とはラテン語で虹(arcus)&ギリャ神話の星座(arcas) ~店の裏側もこっそり綴ります~ 

一昨年のシーズン最終日・・・その②

2010-12-22 07:46:33 | お客様
「すいません。すいませーん!」
誰かが食堂で呼んでいます。私は夕食の準備をしていた手を止めて、声の方に行きました。すると、先程チェックインされた、飛び入りのお客様の女性が一人で立っていました。私は一目見てその女性が外国の方だとわかりました。フィリピンの方のように見えました。そしていきなり「私・・どうしたらいい?」と非常に困った顔をして言うのです。
私「…・・え?どうしました?」びっくりして聞きますと、「私帰りたい。」と。「へっ?」と私。それで「お部屋がお気に召さなかったでしょうか?何でもおっしゃってください。」と聞くと、「来たくなかったのにこんなところに連れてこられて!私、帰りたい。どうしたらいい?」と。
これにはびっくりして、思わず聞きました。「来たくなかった?って…。無理やり連れてこられたんですか?一緒に来た男性とは今日会ったばっかり?知らない人なんですか?!」と、私も黙ってはいません。かなり失礼なことを聞きました。すると、「いいえ、私の夫です」と!そして帰りたい、帰りたいの一点張りでした。理由は来たくなかったから。何ということでしょう。困りましたよ~。
ここまで話して、やっと何となく真相がわかりました。うーむ…夫婦喧嘩ですかね。それも二人で解決できそうもないほどこじれてしまっているような。来る前から喧嘩をしていて、旦那さんはそれでも奥さんと仲直りしようとでも思ったのでしょうか?当日ぎりぎりの予約で頑張って来てはみたものの、奥さんの気持ちはおさまらない。そんなところでしょうか。それか、洋室でベットのお部屋じゃないのが余計気に入らなかったとか…。まぁそんなところでしょうか。
「帰りたい、帰りたい。」…そんなに言われたらどうしようもありません。私は「わかりました。そんなにおっしゃるならお帰り下さい。夕食はもう殆ど作ってしまったので召し上がってからでも結構です。旦那さんと決めてくださいね。」そう言って、やっと一段落しました。
それからすぐです、ご主人が体裁悪そうにフロントにやって来て、夕食代を支払い、何度も何度も頭を下げて帰って行かれました。とても気の毒に思いました。奥さんは先に車に乗っていたようでした。後々考えてもこれで良かったのだと思います。(どこからお越しかと思ったら、すぐ近くの方でした)

昔テレビで「姉さん大変です!」と言うのが定番の「HOTEL」という連続ドラマがありました。宿をやっている限り、私も時折奥深~い人間模様を目の当たりにします。(ほとんどがよいことばかりですよ)
余計なお世話ですが、あの日ご夫婦はどうなったんでしょうね。仲直りして「そんなこともあったよね。」と笑い話になっていてほしいです。時々この一件を思い出す私ですが、いつも思います。どうか仲良しでやっていてくださいと(。-人-。) ・・・・おわり ( オーナー’娘)
コメント
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