投資家の目線

投資家の目線15(企業のプロ野球球団保有問題)

 最近、関東地区における巨人戦の視聴率が落ちていることが話題となっている。巨人が高収益の本業である読売グループは一所懸命プロ野球を盛り上げようとしているが(他球団は副業あるいはメセナとして球団経営を行っているので全国規模でファンを広げようとする巨人軍と利益相反が生じるのであろう)、その視聴率低下はある意味プロ野球の危機といえる。例え関西や福岡地区でいくら高視聴率を上げようとも、その他の地区で得られる広告効果は限られ、したがって、その放映権料も全国放送に比べてそれほど巨額なものにはならないと考えられるからである。そうなると現在でも全国中継の少なかったパシフィックリーグはともかく、巨人戦の放映権料の大きかったセントラルリーグのチームにとってより大きな打撃となるだろう。
 数年前、当時のパ・リーグの球団社長の話を聞いたことがあるが、プロ野球が全国ネットのマスメディアから見捨てられるのではないかと心配されていた。今年やっと交流戦が実現し、全国的にパ・リーグの試合がテレビ中継されることとなったが、思いの外早く視聴率の低下が始まったのではないだろうか。このままではパ・リーグの知名度は、地元ではともかく、全国的には上がらないままであろう。
 来年はともかく、再来年は民放地上波でゴールデンタイムに全国中継されるのであろうか?10月から日本テレビは生中継せず深夜にダイジェスト版を放映するそうだが、これはかつてゴールデンタイムに放映されていたプロレスが深夜番組の定番になったように、巨人戦も深夜番組にする実験ではないだろうか。そうなればプロ野球球団の親会社としては毎年数十億円の広告費をかけて球団を保有し続けることは、自身の株主に説明ができないであろう。
 企業はプロ野球を援助するために存在しているのではない。昨年プロ野球ファンが声を上げることで現体制を守ったが、これからは彼らが資金を出すことでプロ野球を守ることを考えて欲しいものである。
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