投資家の目線

投資家の目線361(アメリカの衰退)

 カーター政権の安全保障担当大統領補佐官だったスビグニュー・ブレジンスキー氏の著書「Strategic Vision:America and the Crisis of Global Power」を読んでいる最中。アメリカが衰退して世界にどういう影響が出るかが様々検討されている。同書に大きく取り上げられているためか、韓国の朝鮮日報(日本語電子版)は、2月10日、11日に記事になり、11日の社説「日本と中国の二者択一を迫る米国」では、「政権獲得を目指す人物も政党も、今なお厳然と近づいている国家生存の岐路で、大韓民国と国民が今後も生存し続けるために進むべき道を提示する義務がある」と結んでいる。

 しかし、日本ではこの本はあまり取り上げられていない。「アメリカの衰退」は、日米安保で食ってる人たちにとってあまり都合のいいことではないからだろうか?同書では日中間の和解の促進が提案されているが、それは政権交代で当初提起された「東アジア共同体構想」と親和的なように思うが・・・。

 最近の現実は逆を行っているようだ。日本やフィリピンは領土問題で中国との対立を煽る方向だ。中韓の間にも領土問題が存在する。さらに今月中には日韓で防衛協力協定を締結する方向だ。衰退するアメリカは周辺諸国を使って中国を牽制する「オフショア・バランシング」を推進中のように見える。そうすればアメリカの武器輸出の促進にもなるし、アメリカ自身はお金を使わないので財政にもやさしい。

 5月9日には香港紙が「中国は今まさに準備を終え、剣を抜こうとしている。フィリピン当局は瀬戸際で思いとどまり、火遊びは止めるべきである」と書いている(2012/5/11 Record China 「<南シナ海問題>フィリピンよ、中国に剣を抜かせるな、瀬戸際で思いとどまれ―香港紙」)。コーカサスでおきた2008年のグルジアの一件を思い出せば、アメリカの後ろ盾などに安心しきって行動して大丈夫かと思う。
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