投資家の目線

投資家の目線362(日経の沖縄復帰記念日特集)

 5月15日は、沖縄が日本に復帰して40年の記念日だった。同日の日本経済新聞朝刊の「沖縄本土復帰40年特集」は、政治部が安保マフィア的に思える同社(大手紙はすべて同じもしれないが)にしては、よくここまで書いたものだと思った。

 同記事は、2009年度の県民総所得に占める米軍関連収入の割合は5.2%に過ぎず、米軍基地で働く従業員も約9,150人まで減少したことを明らかにしている(これはポール・ポースト著、山形浩生訳、バジリコ㈱「戦争の経済学」P129に出てくるドイツの小都市シュヴァインフルトの例、米軍関係者の消費額がこの町の小売総額の5%ということと整合的である。その理由は、基地が近隣コミュニティと経済的に隔離されているためとされている)。

 また仲井真沖縄県知事が久米三十六姓という、600年ほど前に福建省の辺りから琉球に渡ってきた職能集団の流れを汲んでいることも報じている。さらには「ウチナー(沖縄)の心情に組み込まれた中国大陸への親近感というDNAを知らずに、中国軍の海洋進出の脅威やその抑止力としての米海兵隊の重要性を説いても上滑りに終わるだけだ」とまで指摘している。

 ただ、「自衛隊基地と米軍基地が全く違うことを本土の人は分かっていない。米軍は米大統領、国防長官の指揮命令下にあり、治外法権的な存在だ。米兵がそういう意識で行動するのを40年以上、県民は基地の横で味わってきた。これは結構きつい。沖縄が日米地位協定の改定を求める理由だ」という仲井真知事へのインタビューを、沖縄県版の社会面ぐらいしか報じていないことは残念である。




 数字ビザの影響もあり、中国からの観光客は増えている。2011年度は年間30万人を初めて超えたという(2012/4/18 Record China)。また、香港の日系金融機関のシステムは沖縄を拠点とするSEが開発を行っていたと聞く。本土は中国の脅威を説くが、中華圏の興隆は沖縄にとって利益につながっている。

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