投資家の目線

投資家の目線679(トランプ政権と戦後体制の清算)

 米国、大統領経済諮問委員会のハセット委員長が、『戦後の自由貿易体制は「旧ソ連に対抗するため、米国が一方的に関税を引き下げて各国を資本主義の傘の下に収めようとした結果だ」と分析した。貿易相手国の所得水準が向上して「米労働者が不利益を被る不均衡な貿易システムはもはや容認できない」とも語った』(『「減税、第2弾検討」、経済諮問委、委員長が表明。』 2018/6/26 日本経済新聞 朝刊)という。

 「外交 下」(ヘンリー・A・キッシンジャー著、岡崎久彦監訳、日本経済新聞社)には、「ソ連邦に唯一残されていた同盟は東ヨーロッパの衛星国であったが、ブレジネフ・ドクトリンで暗に示されたソ連邦の力の脅威によってソ連邦に従ってはいたものの、ソ連邦の富を増加させるどころか、枯渇させたのであった」と記されている。現に昭和46年「年次世界経済報告 転機に立つブレトンウッズ体制」(昭和46年12月14日 経済企画庁)には、『「社会主義的国際分業」の軸である機械のソ連・東欧間の輸出入をみると,(略)ソ連側の輸入が輸出を上回っている。(中略)東欧先進国からの機械輸入はなお多額にのぼり,輸出の約2倍となっている』と書かれている。

 朝貢貿易は持って行った貢物以上のお返しが貰えるため、貢物を持って行った国の方の利益が大きい。第2次大戦後の米国の関税引き下げは、同盟国にとって朝貢貿易と同様の効果があったのではないだろうか?西側同盟国という「疑似朝貢体制」を終わらせようとするトランプ大統領は、米国版ミハイル・コルバチョフのように見える。
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