投資家の目線

投資家の目線680(大災害発生時の貨物輸送)

 復旧まで時間がかかりそうな山陽本線に代わって、JR貨物が山陰本線を迂回ルートとして検討しているという(「JR貨物、山陰線への迂回輸送検討 豪雨で山陽線が寸断」 2018年7月12日 朝日新聞デジタル)。JR貨物は山陰線で鉄道事業免許を保持していないが、1995年の阪神淡路大震災で迂回ルートとして利用したJR福知山線も免許を持っていなかったようなので、鉄道事業免許の有無は問題ないのだろう。

 問題は機関士と幹線用ディーゼル機関車の確保だろう。近年では2014年に山陽線から山口線経由で山陰線岡見駅(島根県浜田市)とを結ぶフライアッシュ輸送が、2015年には伯耆大山駅(鳥取県米子市)のコンテナホーム新設により山陰線の貨物輸送が廃止された。山陰線を運転したことのある機関士はJR西日本の臨時列車、工事列車の担当ぐらいしかいないのではないだろうか?

 JR貨物で(7月16日追記)、北海道以外の幹線用ディーゼル機関車は愛知機関区にあるDF200とDD51だけである。山陰線で使用されているディーゼル機関車はJR西日本保有のDD51ぐらいだろう。貨物輸送の合理化と客車列車の激減で幹線用ディーゼル機関車の数も激減してしまった。

 現在、JR貨物の代替輸送はトラックと船舶で行われている。しかし、人手不足気味のトラックドライバーにしても船舶にしてもどれだけ引き受ける余裕があるのだろう?関西以東の本州は東海道本線・東北本線(常磐線は一部休止中)と日本海縦貫線の2系統の貨物輸送ルートがある。そのため、東日本大震災の時は日本海縦貫線を使って迂回輸送ができた。それに対して本州西部は山陽本線だけである。そのバックアップとして山陰線を貨物輸送できるように整備しておいた方がよいのではないだろうか?電化まではともかく、山口線と山陰線鳥取~福知山間の軌道強化及び高速化工事時に棒線化された駅の行き違い施設の復活(2021/3/21追記)はしていた方がいいだろう。山陰新幹線より現在の山陰線を軌道強化して生産活動に支障が出ないようにする方がよっぽど賢明な投資だ。被災地を支援するためにも、被災地以外の人は普通に働いてお金を稼がないといけないのだから。

追記:
・山陰本線、園部-福知山間、鳥取-益田間は高速化工事が行われた区間である。
・鉄道関連の話題といえば、7月5日にJR四国の多度津駅にセブンイレブンKioskがオープンした。2014年7月に業務提携を発表して以来、これで四国Kioskの店舗があるすべての駅でのセブンイレブン化が完了した。
・2021/3/13のダイヤ改正で、JR貨物愛知機関区のDD51の定期運用が終了した。山陽本線が長期にわたり運転見合わせになった時、山陰本線を使っての貨物の迂回輸送がやりにくくなったのではないだろうか?(2021/3/21追記)
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