投資家の目線

投資家の目線574(英国と日本の「移民」問題)

 国民投票の結果、英国がEUを離脱することが決まった。背景には移民を主とする人口の急増による生活環境の悪化があったようだ。2016/6/28のニューズウィーク日本版『「EU離脱」に清き一票を!』(ジャーナリスト コリン・ジョイス)は、

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移民が大挙して公立の病院や学校に押し寄せる現状も目の当たりにしている。住宅の供給は人口増加のスペースに追い付いていない。
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と、生活環境の悪化を伝えている。

 2016年6月23日 めいろまさんのツィートも、

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EU離脱を求めるのは年寄りのエゴというのとはちょっと違う。例えば子供がいる中流のサラリーマン。子供が病気になってもEUからの移民激増で病院のERは4時間待ち、公立は英語不明な外国人生徒が激増し授業が成り立たない上教室ギューギュー。不動産高騰で家買えない。中流も離脱したい
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と、同じような状況を伝えている。人間が生活するにはインフラストラクチャーが必要だが、その整備にはある程度の時間が必要で、短期間での解決は無理である。例え学校校舎などのハードが整備されても、移民の母国語も理解して教育が行えるような教師の育成は一朝一夕にはいかない。

 日本で最も転入超過数が大きいのは東京都で、2015年には81,696人の入超だった(住民基本台帳人口移動報告 2015年結果 総務省統計局)。2014年のデータではあるが、年齢別で「15~29歳」が10万3,325人の転入超となっているので(2015/2/5 日本経済新聞web版「東京圏への人口流入、5年ぶり10万人超 14年 「地方創生」策づくり、急務」)、大勢の若い世代が他の道府県から東京都に「移民」としてやってきているのがわかる。若い世代は、初めは単身で東京にやってきてもその後に家庭を持って子供が生まれたりもする。東京都の平成26年の出生数は110,629人で、2位神奈川県の72,996人を大きく上回る。

 最近、保育所不足で待機児童が増えていることが問題視されているが、これも首都圏への、日本の「域内移民」の増加から派生した問題であろう。日本圏内の場合、EU圏内より人口が少なく、言語や生活慣習の差が小さいのでEUほど「域内移民」のことは問題視されていない。しかし、「域内移民」の増加で保育所というインフラストラクチャーが不足し、大都市圏の生活水準が低下しているのは、EU域内の移民増加に悩む英国の問題と共通のものだ。日本も英国の問題を他人事と考えず、それこそ選挙の争点として考えるべきものだと思う。
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