投資家の目線

投資家の目線688(日米経済交渉)

 NAFTA加盟国の墨、加や、EU、中国との交渉に目鼻がついたのだろうか、経済交渉で日本の順番が近づいてきたようだ。今月8日、9日の日本経済新聞は米国が日本に圧力をかけてきていることを報じている(「日米貿易「大変な問題に」、トランプ氏合意なければ報復示唆。」 2018/9/8 日本経済新聞 夕刊、「米圧力、動揺隠す日本、総裁選控え様子見、トランプ氏、対日赤字で強硬発言。」、「米圧力、動揺隠す日本―米、自動車関税で脅し、狙いは2国間交渉。」2018/9/9 日本経済新聞 朝刊)。9日の記事で、『日本に求めるのは「自動車と農業」(ホワイトハウス関係者)だ』と報じられているが、『7月27日の首相官邸。「農業は絶対に譲歩できない。自動車の追加関税も回避してほしい」。首相、安倍晋三(63)は5階の執務室で経済財政・再生相の茂木敏充(62)に語った。』(「貿易戦争日本は(1)「農業は絶対譲れない」(迫真)」 2018/8/6 日本経済新聞 朝刊)と、日本側に受け入れの素地があるかどうか疑わしい。

 雇用にはマイナスだが自動車輸出をあきらめ、農業を守った方がよいのではないだろうか。農業の保護は人口の地方分散にも役に立つように思う。江戸時代の生糸国産化が進んだのも日本の代表的な輸出品である銀が採れなくなったことに起因する。輸出で稼ぐことができなくなれば、自給できるものは自給していくことはおかしなことではない。

 昨年8月の日本経済新聞「私の履歴書」で高村正彦自民党副総裁が、福田康夫内閣のとき、米国で自衛隊のヘリ部隊によるアフガニスタンでの物資輸送の期待が高まっていたことを書いていた。高村氏は「米国で期待が高まっている一因は、石破茂防衛相とゲーツ国防長官の会談でのやりとりが発端だった」(「高村正彦(23)アフガン貢献――「ヘリ派遣は困難」耳打ち、首脳会談での日米決裂防ぐ(私の履歴書)」 2017/8/23 日本経済新聞 朝刊)という。しかしそれ以前に、ヘリ部隊かどうかに関わらず大枠で自衛隊のアフガニスタン派兵を了承した人物がいたと考えるのが妥当だ。安倍首相は安保法制を成立させ第一次政権の宿題をやり遂げたのかもしれないが、米国でグローバリストではなく、小規模ビジネス重視のトランプ大統領の誕生で、あまり意味がなくなってしまった。

 安倍総裁は自民党総裁に三選して何をするつもりなのだろう。データ不正事件で米国司法省に資料を握られている神戸製鋼所は、かつて安倍首相が勤務した企業である。さらに事件を起こしたアルミの事業所は選挙区の下関市にもあり、「神戸製鋼は安倍洋子が工場にあらわれて檄を飛ばすような関係」(「安倍陣営は万単位で票減らすか 首相お膝元の選挙区情勢分析」 2017/10/14 長周新聞)と、安倍氏の票田になっているようだ。米国から多額の課徴金でも要求されれば、神戸製鋼所の経営にも大打撃となり、事業所の閉鎖を含めたリストラクチャリングも必要になるかもしれない。

 『「今回できれば、ゴルフをやってもらいたい」。9月下旬に予定する米国でのトランプ氏と首相の会談に関連して政府内にはこんな期待がある』(「米圧力、動揺隠す日本、総裁選控え様子見、トランプ氏、対日赤字で強硬発言。」 2018/9/9 日本経済新聞 朝刊)とも報じられている。日本政府は「ゴルフはできても仕事ができない安倍首相」でもアピールするつもりなのだろうか?

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