投資家の目線

投資家の目線758(地方百貨店の経営破たん)

 1月27日、山形市の百貨店大沼が自己破産し、閉店した。昨年8月に同社は米沢店を閉店している。2015年以降、経営形態の変更あるいは閉店した百貨店等(予定を含む)を地域別に取り上げてみた。
 
北海道

2023年

 藤丸(新型コロナ: 北海道帯広の百貨店・藤丸、23年1月末に閉店で調整:2022/7/6  日本経済新聞WEB版) 2022/7/7追記

   テーオーデパート8月末閉店   2023/2/1追記

2022年

 マルカツデパート(電気料金未納で…テナント一斉退去、営業を断念 旭川のデパート 2022/10/6 朝日新聞デジタル) 2022/10/6追記

2019年
 棒二森屋(函館)閉店
2016年
 西武百貨店旭川店閉店
 カテプリ新さっぽろ閉店

東北
2021年
 マリーン5清水屋 7月15日閉店予定 (『酒田の「マリーン5清水屋」15日閉店 自己破産申請へ』 2020/7/3 河北新報) 2021/7/3追記
2020年
 中合(福島 8月末閉店予定 2020/5/26追記)
2019年
 三春屋の経営譲渡(八戸)
 中三青森店一時閉店
2018年
 中合福島店2番館閉店
 さくら野百貨店仙台店破綻
 十字屋山形店閉店
2016年
 マルカン百貨店(花巻)閉店

関東

2025年

 新宿アルタ(「新宿アルタ」営業終了、25年2月末 三越伊勢丹 2024/3/22 日本経済新聞電子版 2024/3/22追記)

2024年

    アブアブ上野店(アブアブ上野店、24年6月に閉店 約80年の歴史に幕 -2023/4/21 日本経済新聞 2023/4/23追記)
 新所沢パルコ(2月29日予定 2021/2/25追記)
2023年
 津田沼パルコ(2月28日予定 2021/2/25追記)

 東急百貨店本店(2023/1/31追記)

 立川高島屋(2023/1/31追記) 
2022年
 小田急百貨店新宿本館(9月末予定 2021/7/16追記 「小田急百貨店、新宿本館来年9月に閉館 跡地に複合施設」 2021/7/16 日本経済新聞WEB)

 丸広坂戸店 (2022/6/23追記 丸広坂戸店、8月閉店へ ダイエー跡にオープンして20年 相次ぐスーパー出店、人口減で苦境 残る店舗は(埼玉新聞) )

2021年
 東急ハンズ池袋店(9月末予定 2021/3/19追記)
 池袋マルイ(8月予定 2020/10/2追記)

 そごう川口店閉店(2月予定)
 さいか屋横須賀店(2月予定 2020/5/7追記)
 ファミリーまるひろ日高店(2021年2月14日 2020/12/23追記)
 バーニーズ・ニューヨーク新宿店(2021年2月末 2021/1/8追記)
 三越恵比寿店(2021年2月末 2021/3/1追記) 

2020年
 川越モディ閉店
 東急百貨店東横店閉店(3月末予定)
 港南台高島屋閉店(8月16日予定 2020/7/6追記)
2019年
 宇都宮パルコ閉店
 伊勢丹府中店(東京)閉店
 伊勢丹相模原店閉店
2018年
 丸井水戸店閉店
 西武百貨店船橋店閉店
 西武百貨店小田原店閉店
 伊勢丹松戸店閉店
 マルイ川崎店閉店
2017年
 西武百貨店筑波店閉店
 三越千葉店閉店
 三越多摩センター店閉店
 大宮中央デパート閉店
2016年
 西武春日部店閉店
 そごう柏店閉店
 千葉パルコ閉店

東海

2024年

 高島屋岐阜店(「高島屋、岐阜店を24年7月に閉店 岐阜は4番目ゼロ県に」  2023/10/13 日本経済新聞電子版)

   名鉄百貨店一宮店(「ネットショッピングの影響等で…名鉄百貨店一宮店が年明けにも閉店へ 2003年には売上約111億円を記録」 2023/4/18 東海テレビ)

2023年

 ロフト名古屋店(『名古屋・栄の「ロフト名古屋」6月閉店 大型店でコストかさむ -』2023/4/7  日本経済新聞電子版 2023/4/7追記)

2021年
 松坂屋豊田店(「松坂屋豊田店、閉店セール始まる 9月末まで」2021/6/30 日本経済新聞WEB)(3月下旬予定 2021/6/30追記)
 静岡マルイ(3月下旬予定 2020/10/2追記)

2020年
 近鉄百貨店四日市駅前専門店ビル撤退(2月末予定)
 ほの国百貨店(豊橋)閉店(3月予定)
 西武百貨店岡崎店閉店(8月予定)
 アネックス静岡伊勢丹営業終了(2月24日予定 追記)
2019年
 ヤマゲン大垣本店閉店
2018年
 丸栄閉店(名古屋)

甲信越

2025年

 松本パルコ(長野の松本パルコ、25年2月末に閉店へ -2023/2/27 日本経済新聞 2023/2/27追記)

 松本井上百貨店(長野県松本市の百貨店「井上」、25年3月末で営業終了 2024/4/24 日本経済新聞電子版 2024/4/25追記)

2022年

 アゲイン(長野市の「アゲイン」が閉館 24年の歴史に幕:2022/7/19 日本経済新聞 2022/7/20追記)
2021年
 西武福井店新館(2月末予定 2021/2/9追記)
 金沢名鉄丸越百貨店株式譲渡(3月末予定 2021/3/8追記)
 金沢ロフト(7月予定 2021/4/9追記)

2020年
 新潟三越閉店(3月22日予定)
2019年
 山交百貨店(甲府)閉店
 新潟アルタ閉店
 大和高岡店閉店

関西
2021年
 三田阪急閉店(秋まで)2020/12/18追記
2020年
 京都マルイ閉店(5月末予定)
 西武百貨店大津店閉店(8月末予定)
 そごう西神店(神戸)閉店(8月末予定)
2019年
 そごう神戸店、西武高槻店、H2Oに経営譲渡
2018年
 ヤマトヤシキ姫路店閉店
2017年
 西武百貨店八尾店閉店
 阪急阪神百貨店堺北花田阪急閉店

中四国
追記:

2024年

   福屋三次店(「福屋、広島・三次店を8月閉店 来店客数が減少」 2024/3/13 日本経済新聞 2024/3/14追記)

 一畑百貨店(「島根の一畑百貨店が営業終了へ ネット販売、コロナ影響」2023/6/13 日本経済新聞電子版 2023/6/13追記)

 尾道福屋(「広島・尾道福屋、24年1月に閉店 後継テナントは未定」 2023/5/9  日本経済新聞電子版 2023/5/10追記)
2023年

 そごう広島店新館(「そごう広島店、23年夏に新館閉鎖 面積を大幅縮小」 2022/6/22 日本経済新聞WEB版 2022/6/23追記)
2022年

 福屋浜田店(「福屋、広島・三次店を8月閉店 来店客数が減少」 2024/3/13 日本経済新聞 2024/3/14追記)

 天満屋緑井店(「天満屋緑井店が閉店、25年の歴史に幕 広島市内の店舗ゼロ」 2022/6/30 中国新聞デジタル 2022/7/7追記)

 ロッツ(「岡山の商業施設ロッツ、22年2月末で閉館」 2021/6/28 日本経済新聞WEB版) 2021/6/29追記2021年
 いよてつ高島屋西条店、八幡浜店(1月25日予定)
2020年
 いよてつ高島屋南宇和店(12月31日予定) 2020/11/5追記

 そごう後継大型商業ビル(福山)閉店(8月予定)
 そごう徳島店閉店(8月末予定)
 天満屋広島アルパーク店閉店
2019年
 米子高島屋地元企業へ株式譲渡
 一畑百貨店出雲店営業終了
2018年
 山口井筒屋宇部店閉店
 鳥取大丸とJフロントリテイリング資本提携解消
2016年
 やよいデパート(米子)破産

九州

2024年

 佐世保玉屋(「佐世保玉屋、7月末に閉店 28年に新施設完成へ」 2024/3/1 日本経済新聞 2024/3/1追記)

2021年度
 天神イズム(福岡)営業終了(予定)
2020年
 パルコ熊本店閉店(2月末予定)
 天神ビブレ(福岡)閉店(2月予定)
 天神コア(福岡)閉店(3月末予定)
 メイト黒崎(北九州)破産
 橘百貨店(宮崎)をPPIHが買収
2019年
 コレット(北九州)閉店
2018年
 飯塚井筒屋サロン閉店
2015年
 県民百貨店(熊本)閉店

最終更新:2024/4/25

 大沼の経営破たんについては、『長沢光洋代表取締役は27日、記者会見し、「(消費増税があった)昨年10月以降、状況が一変して売り上げが大きく減った」などと説明』(『自己破産申請の百貨店、大沼 「支払い延期不可能」』 2020/1/27 日本経済新聞WEB版)されていた。同社経営破たんの最後の引き金を引いたのは消費税のようだ。

 しかし、田中信一郎千葉商科大学准教授は、百貨店という業態が時代に合わなくなってきたこと、大規模小売店舗法改正で郊外型ショッピングセンターに顧客が移ったこと、百貨店は窓がなく外とのつながりが乏しいことを挙げていた(『山形の老舗百貨店「大沼」自己破産を招いた3つの問題点』 2020/1/29 日刊ゲンダイDIGITAL)。地方百貨店の不振は、お中元やお歳暮など百貨店が得意とする分野の風習が廃れてきたこともあるだろうが、大規模小売店舗法改正で出店を自由化させたことは、地方の資金を大資本に集中させ、地元資本に資金が回らなくなったこともあるだろう。また、地方政府による都市計画策定を難しくしたという副作用もあるように思う。

 百貨店だけでなく、郊外型ショッピングセンターでも閉店する所が出てきている。佐賀県のイオン上峰店の閉店は地域に大きな衝撃をもたらした。再開発後、イオンが出店の意向を示しているが(「イオン上峰2月閉店 再開発施設にイオンが出店意向」 2019/1/16 佐賀新聞LIVE)、閉店から8カ月経っても再開発の建設、運営業者決まっていないと報じられた(『「イオン上峰店」閉店8カ月 建設、運営業者決まらず』 2019/11/12 西日本新聞)。また閉店した店舗跡に、新たな小売企業が出店することもあるが、うちの実家近くの店舗のように閉店後新たに出店した店舗が数年で閉店することもある。近所に店がなくなれば、買い物難民も発生する。

 経済自由化は、人口の大都市集中化で地方経済を疲弊させた面もあるだろう。企業活動をある程度規制する政策をとらなければ、大沼のような地方の小売店の閉店は加速していくように思われる。

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