投資家の目線

投資家の目線747(総理大臣主催「桜を見る会」とTPP)

 立憲民主党の蓮舫議員の11月22日のツィートに、「桜を見る会」のケータリングの入札情報の写真が掲載されていた。今年平成31年の企画競争参加数は1社で、契約額は21,913,232円だった。平成26年から平成31年まで、平成27年、平成29年の2社を除き企画競争参加数は1社のみで、全期間同一の企業に決定している。

 TPPの第15章は政府調達に関するものである。基準額以上の物品・サービスの政府調達については原則公開入札としなければならず(ルールの概要)、建設関連以外の物品・サービスの基準額は十万特別引出権で、食料提供サービス、飲料提供サービスが含まれる(附属書)。ここ五年ぐらい1特別引出権は160円以下である。したがって、契約額が1,600万円を超える「桜を見る会」のケータリングは公開入札の対象だろう。しかし、参加数が1社(最大で2社)しかないようでは、入札の条件に問題があり、TPP協定に反しているのではないだろうか?

 TPPには、贈収賄を禁じる腐敗行為防止の章がある。しかし、2016年にはTPP交渉の担当大臣の甘利氏の事務所で、口利きの見返りに金品を受け取った疑惑が持ち上がった。第9章で投資の自由化を謳う(市場アクセスの概要)TPPに賛成した日本維新の会に所属する下地幹郎議員も、地元のビール会社が米国の投資ファンドなどに買収されるとなると「あってはなりません」とツィートする(2019年1月18日のツィート)。TPP推進派は、TPPが何たるものかわかっていないのではないだろうか?

 「満州事変から日中戦争へ シリーズ日本近現代史⑤」(加藤陽子著 岩波新書)には、満州の一部とは言えない熱河省への侵攻を許可し、その後撤回もできなかった昭和天皇や斎藤首相が、満州事変とは異なる新たな戦争と国際社会に認識されて、規約違反として国際連盟からの除名されることを恐れ、連盟からの脱退を選択したことが書かれている。

 今回の「桜を見る会」のやり方を見ると、日本政府は相変わらず国際協定を軽んずる傾向があるように見える。

内閣官房TPP等政府対策本部 HP 
第9章 投資
市場アクセスの概要
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/naiyou/pdf/chapters/ch_ma_2.pdf

第15章.政府調達
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/naiyou/pdf/text_yakubun/160308_yakubun_15-1.pdf

ルールの概要
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/naiyou/pdf/chapters/ch15_1.pdf

附属書
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/naiyou/pdf/text_yakubun/160308_yakubun_15-2.pdf


追記:TPP11の発効は2018年12月30日、平成31年の「桜を見る会」の入札の公示日は2019年2月28日である。
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