投資家の目線

投資家の目線746(三菱自動車と日産自動車の減益)

 11月6日、三菱自動車の2019年度の親会社株主に帰属する当期純利益が前年比96%減の50億円、12日には、日産自動車の2019年度の親会社株主に帰属する当期純利益が前年比66%減の1,100億円になる見通しだと発表された。北米事業の落ち込みも大きい。カルロス・ゴーン氏の排除の影響が大きかったのではないだろうか。日産自動車の決算発表では、追加のリストラクチャリングに関する発言もあった(「日産の今期純利益、66%減の1100億円 2月に臨時総会」 2019/11/12 日本経済新聞WEB版)。

 三菱自動車の拠点のうち岡山県倉敷市は加藤勝信厚生労働大臣、橋本岳厚生労働副大臣、愛知県岡崎市は青山周平文部科学・内閣府・復興政務官(比例繰り上げ)の選挙区内にある。直接の選挙区ではないが木村弥生総務政務官(比例復活)の地元京都市にも同社の事業所がある。また、日産自動車の拠点がある選挙区としては、以前記述した菅義偉官房長官、小泉進次郎環境大臣、河野太郎防衛大臣、武田良太国家公安委員長兼防災担当大臣に加えて、義家弘介法務副大臣の選挙区には相模原、厚木、座間に事業所がある。三菱自動車や日産自動車の業績悪化は、彼らの選挙区の雇用や経済状況の悪化につながる。

 「ガイトナー回顧録 金融危機の真相」(ティモシー・F・ガイトナー著 伏見威蕃訳 日本経済新聞出版社)には、「ホワイトハウスでの戦略会議で、クリスティー・ロ-マー、オースタン・グールスビーその他が、クライスラーを死なせたほうがGMが生き延びられる公算が強くなると論じたが、大統領がそういう選択肢を考慮したとは思えなかった。自動車産業を分析した私たちのチームは、再建策を実行してイタリアの自動車メーカーのフィアットと合併すれば、クライスラーが生き延びられる見込みはおおいにあると考えていた。数十万人の雇用が危険にさらされているのに、救出可能な会社をスクラップの山に葬るつもりはなかった」(p421)と、リーマン・ショックの時期に米国では自動車業界の再編が考えられていたようだ。

 日本も経済産業省主導で自動車会社の再編でも考えているのか?ルネサスエレクトロニクスやジャパンディスプレイの例を見ると、うまくいくとはとても思えないが…。
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