投資家の目線

投資家の目線371(増資インサイダー)

 海外では、大手金融機関のLIBORの虚偽報告が大きく取り上げられているが、日本では企業の増資情報を、証券会社が一部機関投資家への営業に利用した「増資インサイダー」が大きな問題となっている。

 市場の情報効率性に関する問題で、ファーマらは「ウィーク型の効率性」、「セミストロング型の効率性」、「ストロング型の効率性」と情報の種類を3つに分けて検証することを提案した。「ウィーク型の効率性」はテクニカル分析のように過去の証券価格の動きを分析して平均的に超過リターンを得られるかどうか、「セミストロング型の効率性」は財務諸表などすべての公開情報を利用してファンダメンタル分析を行うことで平均的に超過リターンが得られるかどうか、「ストロング型の効率性」は未公開の情報、例えばインサイダー情報を利用することで平均的に超過リターンが得られるかどうかを検証するものだ。超過リターンが得られないとき、情報効率性が成り立っているとされる。

 結果、株価の系列相関を利用しても、売買回転率が高くて取引コストがかかりすぎて超過リターンを生むのは難しく、日米の市場で「ウィーク型の効率性」が成立していると考えられている。「セミストロング型の効率性」については、実証研究の結果、米国株式市場では概ね成立しているとされる。しかし、学界でも「ストロング型の効率性」が成立しているとする考え方はごく少数派のようだから、「ストロング型の効率性」が成立していると考える学者はほとんどいないようだから、超過リターンが得られるインサイダー取引は、市場における問題行為といえる。そのため、インサイダー取引の摘発は正当なことである。

追記:(市場の効率性に関する参考文献:「新証券投資論Ⅰ」小林孝雄、芹田敏夫著 日本経済新聞出版社)
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・天候不順で農産物価格が上昇している。元公安調査庁第二部長だった菅沼光弘氏の著書「この国の不都合な真実」(徳間書店)によれば、ブッシュ前大統領は「主食をよその国に依存しているような国家は独立国家とはいえない」と語ったそうだ。この発言について、「食糧安保」の重要性に思いを至らせるべきか、それともイラクに大量破壊兵器があると信じたたような愚かな大統領の妄言ととるべきか・・・。

・金曜日官邸前の「脱原発集会」に続いて、水曜日は官邸前で「消費税率引き上げ反対集会」、木曜日には経団連前で「反TPP集会」が始まった。市民の抵抗が政・官・財界へと広がり始めた。
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