フィラデルフィアで州間高速道路95号線の橋脚が崩壊した。道路は2週間以内に再開通するようだ(”Damaged I-95 Stretch to Reopen Within Two Weeks, Governor Says” 2023/6/18 Bloomberg)。鉄道事故の多発といい、米国では交通インフラストラキチャー部門で事故が多い。鉄道事故のときも、一昨年の米国西海岸での物流混雑のときも、ブティジェッジ運輸長官は指導力を発揮することはなかった。ブティジェッジ長官はG7に出席するために訪日している場合なのだろうか?
2017年2月、当時の安倍首相はトランプ大統領に10年で1,500億ドルのインフラ投資を提案していた(投資家の目線660(年金基金と米国インフラ投資) )。国内に関心のないバイデン政権に対してはともかく、価値の無いウクライナへの資金援助よりも米国のインフラに投資する方が、米国の人民に歓迎されるのではないだろうか?安定した物流は、日本の対米輸出企業にとっても、現地生産している日本企業にとってもプラスの材料だろう。
弾薬不足の問題といい、現在の米国はロジスティクスに問題を抱えている。南シナ海で損傷した潜水艦「コネチカット」は造船所に余裕がなく、2026年まで再就役できないようだ。49隻の攻撃型潜水艦のうち18隻が修繕のため使用できないという(”US Submarine Damaged in South China Sea Won’t Return Until 2026 as Shipyards Are Clogged” 2023/6/14 Bloomberg)。輸送用水陸両用艦不足といい(投資家の目線931(混沌とする世界))、現在の米軍は弱体化している。シティグループのマーク・メイソン最高財務責任者は、「消費者側は回復力を維持しているが、滞納が増え延滞率が上昇し始めている」(「シティ、個人の延滞・債務不履行が増加=CFO」 2023/6/15 ダウ・ジョーンズ配信)と指摘している。株高は続いているが、米国経済には不安材料がある。
金曜日には、LGBT理解増進法が成立した。欧州だけでなく東アジアの日韓でも域内の主導権争いがある。最近、ポーランドは対ドイツ戦時賠償に敵国条項を適用すべく根回ししていた。第2次大戦後のドイツは包括的な講和を結んでいないので、ポーランドの主張が通れば、講和会議に出席しなかった国や平和条約を結んでいない国でも敵国条項を利用した戦時賠償請求が可能となるだろう。日本政府はバイデン政権に対する覚えをめでたくしたいのであろう。ただし、トランジェンダー俳優を広告に起用した「バドライト」が、不買運動を受けて20年以上維持してきた米国売上トップの座を失うなど(「アメリカのビール市場、バドライト首位陥落 広告巡り不買運動」 2023/6/15 日本経済新聞電子版)、反LGBT運動の勢力が勢いを増している。性別が男女しかない聖典を信仰する者にとって、性別が58種類あるなどという考え方(「Facebookの性別欄は58種類! 男性でも女性でもない性のこと」 2018/5/21 阿部知代 株式会社フジテレビジョン報道局 huffingtonpost.jp)は、原則と例外を逆転させる、行き過ぎた、秩序を乱す考え方で、反LGBT運動はそれに対する復元行為なのだろう。
2023/6/25追記
小売りチェーン大手ターゲットは、LGBTをテーマにした商品展開がボイコットに発展し、4月11日以降に時価総額が約22%減少した(「米ターゲットは客足低迷か、ゴールドマンが利益予想引き下げ」 2023/6/23 ダウ・ジョーンズ配信)。LGBT運動への賛意表明は、ビジネスにとってマイナスになっている。
これほどの下げは、従来であれば大きな買い場として受け止められると指摘。だが、消費者がまだ消極的である上、LGBTをテーマにした商品展開がボイコットに発展
米国と同じく、日本も巨大な債務を抱えている。また、船員の高齢化による内航海運の危機など、輸送インフラに問題を抱えている(「内航海運、船も人も足りない 老いる国内物流の大動脈」 2023/6/18 日本経済新聞電子版)ことも同じだ。JR貨物は災害時の代行輸送のために内航船を1隻建造するが(「JR貨物とセンコーGHD、災害時の代行輸送船 24年春」 2023/4/13 日本経済新聞電子版)、船員が不足すれば代替輸送もおぼつかない。日本政府も外国に関わるより国内問題に集中した方がよいのではないか?
青字部分追記